縫い子だったシラ・キロガはスペイン市民戦争を逃れて恋人ラミロと一緒にモロッコへ逃げる。浮草のような生活の中でラミロは金を使い果たし、シラを捨てる。この時点からシラの人生は紆余曲折をたどる。警察に目をつけられないようテトゥアンで再び縫い子となり、顧客の有力者の夫人方をうまくいなしつつ英国政府のスパイとして二重生活を送る。そんなある日、別人になりすましてマドリードへ戻り、顧客のドイツ人たちの情報収集をせよとの命令を受ける。そして果敢に任務に挑んだ末、リスボンまで至ったシラは、きわめて重大な最後の発見をする。