歴史上、多くの女性は確固たる願望を実現させるために、あるいは単に社会の中で居場所を見つけるために、男性の役割をしなければならなかった。何世紀にもわたる女性に対する差別や不寛容のせいで、女性に男性と同じ権利を認めようとしない、融通の利かない不条理で不公平な社会と戦うために、反骨精神の強い女性たちは男装するに至った。実在の人物の伝記を模した本書の主人公は医師で、ナポレオン戦争で兵士となり、ヨーロッパの戦場を駆け抜けた。
アルバとマリーナはお父さんにものすごく特別な贈り物をする。それは難破船への潜水だ。そして、この冒険に寄り添ってくれる2人のダイビングのインストラクター、ウリオル、ライアと一緒にお父さんが潜る瞬間が待ち遠しい。姉妹は3人が海の真ん中に消えていくのを小型船から眺めるが、まさか彼らの姿をみるのはそれが最後になるとは想像だにしていない。海は、浅いところも深いところもとっても危険な場所に変わり得る。生き残れるのは勇敢な者だけだ。
1977年6月、思春期を迎えて間もないフアンとロサは、ポルトガルとの国境沿いの道路を非合法の堕胎手術を行う病院へ向かっていた。しかし事故に会い目的地へ着くことはなかった。それから20年ほどたち、ロサと息子のイバンは新たな人生を歩むためにイベリア半島の反対側の突端の地に移り住む。だが、過去は否応なしに追いかけてくる。時には害毒でしかない強い血縁、世代が変わっても同じ過ちを繰り返す危険が潜む家族の秘密、そして人を別人に変えてしまう知恵について書かれた小説。
シュールなノワール、突飛で凄まじい純正のコメディ。著者がまたしても舞台に選んだのは独特な街マドリード。主人公はカストルのあだ名で知られるコメディアンで、テレビで演じるひとり芝居が有名。成り行きと運任せの人生だが、その運に導かれ、彼とよく似たフリオという名のウェイターと知り合う。ふたりは瓜二つだった。そこでカストルは大嫌いな夜会にフリオを自分の代わりに行かせることを思いつく。しかし事はうまく運ばず、過激で気も狂うような出来事が次々と起こる。
イラストレーターであるエンリケ・バルガスと作家のハビエル・マテサンスが贈る人類史の本。精密かつ楽しい絵と文で、歴史上傑出した25人の人物の物語を紹介する。彼ら、彼女らなしでは世界は違っていたかもしれない。時にわたしたちは人間の精神の素晴らしさや、人類の歴史の中で偉大な事業を成し遂げた人々がいたことに意識を向けないことがある。ペニシリンがなければ人類が生き残るのは難しかっただろうし、アメリカ大陸のない地図や、本のない図書館は想像できない。
上司の命令でメキシコへの出張を余儀なくされたカタルーニャの新聞記者マルティン・コルテスの身に起きた大きな変化を書いた小説。40歳目前、既婚で幼い子持ちのマルティンは幸せいっぱいとは言い難い心境だった。メキシコでは様々な状況によって自分がエルナン・コルテスの息子の生まれ変わりだと信じ始め、21世紀だというのに自らが征服者でありつつもアメリカに征服されたと感じる。現実とフィクションが混然とし、超自然的な色合いを帯びた冒険ものミステリー。
The year is 2055. Huge multinational companies dominate a globalised world and the symbols of a person's identity can be sold on the market through sophisticated advertising techniques.
ニコとロドリゴおじいちゃんは釣りに行ったり、いっしょに本を読んだり、芸術のことを話したり、サイクリングをしたり、算数の宿題をしたりする。もちろん、たくさんのピラニアに追いかけられてないときには、だ。何世代にもわたって私たちは、祖父母と愛情を伝え合い、共謀しながら、学び、楽しみ、わくわく胸をおどらせてきた。孫と祖父母の関係について、ユーモアとやさしさにあふれたまなざしを投げかける。
この世のすべてのものは、終わりにたどりついたとき、新たに始まる。完全になくなるものは何ひとつなく、すべては何度となく、形を変える。冬が終われば、春が訪れる。夜の後には、新しい朝が来て、地面に実が落ちれば、芽が出て、木になる。それは、すばらしい宇宙の循環だ。いくつかのそういった循環を、本書はとりあげる。無限に続く、とてつもない旅へようこそ!
アントニオは、アメリカ西部の本物のカウボーイになりたい8歳の少年。憧れのヒーロー、ジョン・ウェインがサンティアゴ・デ・コンポステラまで自分を迎えにきて、西部に連れていってくれるのを夢見ている。ある日、自分と同じくらいの年のカウボーイ、そばかすジムの写真を見つけたアントニオは、ジムになってしまおうと決心する。けれども、それは簡単なことではなく、夢をかなえるにはいつでも大きな代償が求められる……。子ども時代、家族、友だち、想像力、昔からの遊びなどへのオマージュ。