シュールなノワール、突飛で凄まじい純正のコメディ。著者がまたしても舞台に選んだのは独特な街マドリード。主人公はカストルのあだ名で知られるコメディアンで、テレビで演じるひとり芝居が有名。成り行きと運任せの人生だが、その運に導かれ、彼とよく似たフリオという名のウェイターと知り合う。ふたりは瓜二つだった。そこでカストルは大嫌いな夜会にフリオを自分の代わりに行かせることを思いつく。しかし事はうまく運ばず、過激で気も狂うような出来事が次々と起こる。他にも逃亡、誘拐、お笑いコンビ、アルメリア砂漠のど真ん中にあるディスコ、詐欺、殺人犯になりかけている女詐欺師、テレビと不動産に投資する中国人、ドナウ川を航行するクルーズ船、未確認飛行物体が登場する小説。