マドリード郊外の松林で、両目をくり抜かれた男の首つり死体が見つかる。そのポケットには、ある女の名前と住所が書かれた謎のメモが入っていた。犯罪現場から数キロのところに住むサラ・アスカラガ。弱々しく孤独で、ひとりでウォッカを飲むこの女は、人との接触を一切避けて在宅で仕事をしていた。治安警察のフリアン・トレセル警部補が事件の担当になり、若いコイラ巡査部長が助手としてつく。コイラにとっては初めての犯罪捜査。しかも手がかりはほとんどなく、あまりにも多くの謎がある難しい捜査だった。
ある都市の中心部に近い地区に花を買う5人の女がいる。買い始めたころは自分のためではなかった。ひとりは秘密の愛人のために、もうひとりは事務所用、3人目は絵の題材として、4人目は顧客のために。そして最後のひとりは死者のためだった。この最後の女が私。そしてこれは私の物語だ。連れ合いを亡くしてからマリナは自分が途方に暮れていることに気付く。あまりにも長い間助手席に座りすぎた、つまりは夫任せの人生だった。ゼロからの出発を心に決め「天使の庭」という名のちょっと変わった花屋でアルバイトを始める。
新しいミレニアム到来のお祝い気分の真っただ中、カリブの博物館学者が、有名なファッションデザイナーから奇妙な展覧会に協力してほしいとの誘いを受ける。 動物界の在り方に対する大きな関心がふたりを結びつける。7年が経ち、展覧会はとん挫していたが、デザイナーの死後、博物館学者はふたりの共同作業のファイルを取り戻す。眠れなくてファイルを読み始めた長い夜、あの常軌を逸したプロジェクトの裏には、デザイナー一族の謎の歴史を解読するための鍵があったことを知る。
「15年も会っていないにもかかわらず、一昨日話したばかりのように感じる、見えない絆で結ばれている。友情とはこうあるべきだ」キムとラウラは大学で知り合った。ふたりが住む世界は全く違っていた。キムはバルセロナのグラシア通りにあるホテルのオーナーの息子。魅力的で人の目を全く気にしないおおらかな性格だ。一方ラウラは地方出身。素朴で理想主義者。そして人生で大切なのは細やかな気遣いだと分かっている。友情の絆で結ばれたふたりは共に笑い、楽しみ、前途に立ちはだかる障壁を乗り越えていく。
若い人型ロボットπ3は、宇宙バイクで星々を旅行しているときに、道に迷って地球に落下してしまった。落ちたのはスペインのカディス湾。そこで伝説の蒸気船バポルシトの乗組員たちに助けられる。そこから冒険が始まった。ピトレ(カディスの新しい友だちは彼のことをそう呼ぶようになった)は、へんてこな地球の暮らしを見て、住民の行いによってすでに荒廃した自分の星とどう違うかを知っていく。
パラシオスはここしばらくやってきた仕事、ヒットマンをやめようとしている40代の男。 運よくとても実入りのいい仕事の依頼を受け、引退の可能性ができたように見えたが、その仕事が終わるとかえってことが複雑になり、報酬も彼自身の社会復帰も重大な危機に陥り始めた。お金を受け取るために、パラシオスは彼にとっては全く見ず知らずの汚い世界を彷徨うはめになる。その世界とは、都市計画がらみの投機から生まれる巨大マネーの世界。
これはマテオとオルガ、そしてグーグルに宛てたエントリーシートの物語。ロボットに興味があるマテオは、人間同士の関係から価値がなくなるのではないかということを調べたくて仕方がない。数学者兼実業家のオルガは、統計モデルこそ物語であり、確率とは自由であることの最も正確な名付け方だと思っている。普遍的な物語が出会いと会話、相手の声を聞きたいと思う気持ちで構成されているという意味では、これはラブストーリーだ。
一番の親友が自分と同じく、サラという女の子に恋をしたとき、アドリアは感情の領域の内外で負けることをおぼえる。そのとき彼は尊敬するサッカー選手、レオ・メッシに手紙を書きはじめ、それが1冊の本になった。人生において10はとても重要な数字だ。読者は、アドリアやその家族や友だち、先生やコーチの日々の態度や行為が認められるに足るものかを判断することになる。ユーモアはあるか? もちろん。騒動は? それもある。落胆やフラストレーションは? そして克服がある。
三つ目のカエルは汚れた場所で育ち、住んでいるところの水もとてもきたない。でも、それはなぜ? 何が起きているかを理解し、自分の住みかがひどい状態になっている原因を見つけるためには、うんと高くジャンプしなければならない。やがて、三つ目のカエルは物事を変えていこうと決心し、おばあちゃんに助けてもらい、今の現実を変えて環境をよくしていくという課題にいっしょに挑んでくれる友だちを探しだす。共通の解決策を探すよう私たちを勇気づけてくれるお話。