これはマテオとオルガ、そしてグーグルに宛てたエントリーシートの物語。ロボットに興味があるマテオは、人間同士の関係から価値がなくなるのではないかということを調べたくて仕方がない。数学者兼実業家のオルガは、統計モデルこそ物語であり、確率とは自由であることの最も正確な名付け方だと思っている。普遍的な物語が出会いと会話、相手の声を聞きたいと思う気持ちで構成されているという意味では、これはラブストーリーだ。なぜならあらゆるラブストーリーのように、ここで描かれる出会いにもこの世界に生き存在するふたつの形のすれ違いが含まれているからだ。マテオとオルガはふたつの世代、窮地に陥っても直接会うのではなく、グーグルに頼るふたりの人間を象徴している。これは人間関係を詳細に分析し、社会格差とテクノロジーによる人間性の喪失を批判する小説だ。