日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。
今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました(あいうえお順/敬称略)
内田剛(三省堂書店) / 小澤大介(トランネット) / 田中絵里(ポプラ社) / 永易三和(原書房) / 野谷文昭(名古屋大国語大学教授・東京大学名誉教授) 各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略) 青砥直子 / 宇野和美 / 小原京子 / 柏倉恵 / 佐藤晶子 / 嶋田真美 / 高際裕哉 / 棚瀬あずさ / 長神末央子 / 村田名津子 / 安田晶 / 横田佐知子 / 吉田恵 / Amadeu Branera
夢の国で交差する人生。忘れがたいアイスランド旅行。バルセロナ郊外のサバデイの町から一歩も出たことがなかった時計職人が、古い時計を修理するためアイスランドに行かなければならなくなる。好きな音楽を演奏するためにグループを探す北欧の青年。夢見てきた旅を実現した地質学者のカップル。アイスランドの海岸を巡るルート1よろしく、引退したカルト作家と彼にインタビューをしなければならない若きジャーナリスト。成功者らしき男。これらの人物たちの人生を結びつける小説である。
著者は、ギフテッドであることをいかに、問題ではなく長所にできるかを説明する。というのも、ギフテッドはしばしば問題となるからだ。子ども自身にとっても、両親や一般の教育者たちにとってもそうで、教育者たちは、このような子どもたちに必要な配慮をするための知識も時間もない。またこれは、公衆衛生の問題でもある。なぜそのような症状が現れているのか、その背景まで見通すことができず、ギフテッドの子どもたちが異なる障害と診断されるケースがよくあるからだ。
ローマで惨憺たる一時期を過ごしたアレックス・ベルナルは明け方バルセロナ空港に到着し、手荷物受取所で自分のスーツケースが出てくるのを辛抱強く待つ。やっと自分の荷物が出て来たときには同じフライトの乗客はとっくに自分たちの鞄を手に姿を消していた。しかし、がらんとした巨大ターミナルのベルトの上を1個のスーツケースが回り続けていた。金に困っていたアレックスは出来心からそのスーツケースを持ち帰る。そして、思ってもみなかった恋愛と苦痛の物語の主役となる。
孤独は私たちの感情の内部へのデリケートな旅であり、願望や感謝や正義や夢が合わさった空想に満ちあふれた冒険である。ページをかけめぐる数名の登場人物たちが、みな読者の心に残る。感じのよい泥棒ブルノ・ラバスティデ、書籍の処方師、若き夢狩人、そしてははちみつ色の目をした若い日本人女性などが、毎日午後になるとヴェニスのアパートで運命に立ち向かっていく。
ビルヒニアは家族と一緒に田舎で、動物や草木に囲まれて暮らしている。雌犬のライカ、カエルのレネー、フェレットのウーゴ、鳥のグリップと暮らすのは、兄弟といるのと同じように極自然なことだ。彼女にとって動物は家族同然だ。しかしその夏、ビルヒニアはとても不思議な出来事に出会う。木の上に作られた小さな家に、どこからともなく次々と本が現れるのだ。誰が置いていくのだろう? それはなぜ?