日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました(あいうえお順/敬称略)
入谷芳孝(岩波書店) /桜井志賀子(学研ホールディングス)/ 高木和子(インタースペイ) / 野谷文昭(東京大学)/ 宮崎真紀(翻訳家)
各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略)。青砥直子 / 井原美穂 / 宇野和美 / 小原京子 / 柏倉恵 / 児玉さやか / 嶋田真美 / 高木菜々 / 高際裕哉 / 田中恵 / 長谷川晶子 / 宮崎真紀 / ハビエル・フェルナンデス=サンチェス / 村田名津子 / モンセ・マリ / 安田晶 /八木麻貴子 /矢野真弓 / 横田佐知子 / 吉田恵
むかしあるところに、国で一番力のある男になりたがっている王がいた。しかし、王の力は、未来がわかると言う魔術師にはかなわない。そこで王はある日、魔術師に未来が分からないことを証明してやろうと、あるたくらみを企てる。魔術師に本人の死ぬ日をたずね、まさにその瞬間に剣を抜いて、魔術師に死をもたらすのだ……。
ところが、王が想像だにしなかったことには、魔術師の答えを聞いた王は、自分の命よりも魔術師を大切にせざるを得なくなる。
マリリン・モンローの人生最後の数か月と、ガリシア生まれの映画人ホセ・ボラーニョスとの関係を再現したノンフィクション。著者が70年代に「インテルビウ誌」や「ラ・カリェ誌」に掲載した衝撃的なルポルタージュを彷彿とさせる本書は、力強い報道記事が持ち合わせている全要素と、大河小説の魅力を併せ持つ。内容はモンローだけに留まらない。マリリン神話が見え隠れするなか、さまざまな物語が絡みあう。登場するのは、ルイス・ブニュエル、リチャード・ニクソン、アル・カポネ、ジャン・レオン、そしてかのチェ・ゲバラ……。
本書はアニメシリーズ「ポコヨ」と「ジェリー・ジャム」の制作者のひとりであるダビッド・カントーリャの評伝。その成功と失敗と、新たなる国際的成功を一人称で語る。成功と転落のその波乱万丈の人生がフアン・ディアス=ファエスの巧みな語りと絵で味つけされている。感動やドラマに胡椒をきかせたエピソードが楽しく、かつビジネスの世界のしくみがわかる貴重な資料という意味で教育的な一冊。
エリカがアイデンに出会った日、ふたりともほんの子どもだったが、エリカは言い知れぬ強い衝撃を感じて逃げだした。逃げる途中でエリカはドラゴンと出会い、それがもとで「ドラゴンの貴婦人」となる。その首に賞金がかかった、なぞに包まれた正義の旗手だ。
十代のスペイン人女性作家が書いた、愛とファンタジーの感動の物語。
ヘンリー・マレーとクリスティアナ・モルガンは1925年ニューヨークで出会った。当時ヘンリーはハーバード大学の意欲的な医者で、ボストンの裕福な資産家の娘と結婚していた。一方、クリスティアナ・モルガンは美術を学ぶ激しい気性の学生で、退役軍人の妻だった。ふたりはどうしようもなく惹かれあい、スイスに渡ってカール・グスタフ・ユングの分析を受ける。ユングはクリスティアナを深いトランス状態に沈める。