日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました(あいうえお順/敬称略)。太田昌国(現代企画室)/ カンタン・コリーヌ(フランス著作権事務所)/ 鴻巣友季子(英語圏文学翻訳家・文芸評論家)/ 多賀谷太郎(福音館書店)/ 野谷文昭(東京大学教授)
各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略)。青砥直子 / 井原美穂 / 宇野和美 / 潤田順一 / 小原京子 / 金関あさ / 佐藤まゆり / 嶋田真美 / 高際裕哉 / 灘辺佳代子 / 長谷川晶子 / Javier Fernández Sánchez / 宮崎 真紀/ 村田名津子 / 安田晶 / 矢野真弓
とある4月の土曜日の夜明け、スペイン南部の小さな村。その家に住む老女が亡くなっているのを見つけた家人の悲鳴で家じゅうが目を覚ます。それから何時間かにわたって、家の扉が弔問客に開かれる。会話と中傷、家族と近所の人々、涙と再会、花と祈り、人、たくさんの人。良きにつけ悪しきにつけ、いやがおうにもつきあわざるをえない村人たちの人生が投影される。
動物園につながれているのがいやになった1頭のカバが、故郷のアフリカに帰ることにする。何人かに助けてもらって動物園の外に出るが、なによりびっくりしたことに、自由になったカバを見ても、だれひとり――動物園の職員も、通りをいく通行人も、店員も、ピザやのウェイターも――おかしいと思わない。
スペイン初の、最良にして完璧なスペイン・ワイン集。現在活躍中の専門家22名で構成する試飲委員会が、スペインで最上級にランクされるワインを解説し、コメントし、格付けする。
ブラインドティスティングされたワイン4973銘柄、ブラインドティスティングされた上でコメント、格付けされたワイン1121銘柄。1263の醸造元とそのすべてのワイン、335の専門店、118のワイン産地の情報を収録。
口承芸術であるフラメンコは、長らく、基本的にはバハ・アンダルシアの大いなるジプシー一族の中で守られ、家庭や地域で世代から世代へと伝えられてきた。その歌詞は迫害や疎外の産物であり、そこには反抗心が沈殿している。30年代には、ファンダンゴはもっぱら、ハカの将校フェルミン・ガランや「共和国の小旗」に捧げられてきた。その一方で、フランコ政権末期と民主主義への移行期のあいだは、多くのフラメンコ・アーティストたちが政治がらみで社会的立場を手にした。
熟年期における挫折、それが、20作の短編をおさめたセルジ・パミエスのこの新しい作品集の中心テーマ。個人及び集団をみまう不運、不運を乗り越えて生き延びる能力、不運によってひきおこされるあらゆる感情が、オブセッシブなスタイルで描かれる。このスタイルこそ、何千もの読者をひきつけてやまない、最近のパミエスの著作の特徴である。