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本書『1980』はすべての家族に当てはまる物語だ。少なくともほぼすべての家族に。つまり欠陥のある家族。ごく一般的な家族ともいう。そこには性的虐待もなければ暴力もない。いるのは強い、たぶん強すぎる女たちと、死んでいるかあるいは生死不明の男たち。70年代の終わりのマドリードに、マリア・ヒメネスの歌を聞き、国民党創設者のマヌエル・フラガを押しのける可能性をもてあそぶ進歩的な母親がいた。突然、未亡人になって自由を手に入れるが、彼女には育てなければならない子どもが3人もいる。そこにもうひとり登場するのが、その子どもたちの世話をする残忍な祖母。わずか16歳だった自分のきょうだいを屍衣で包んだ経験をいつも自慢する。そして上品な金持ちのカタルーニャ人。1980年の午後や夜が暗い影や秘密を抱えて現れると、みんなの人生が変わっていく。語り手である臆病で怒りを抱えた少年の人生は、独特な形で変化する。わたしたちが子ども時代に感じた、人生の重苦しさや家族についての回顧録。
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文学
1980
1980
フアン‧ビラ
Juan Vilà
Editorial Anagrama
国際著作権のエージェントであるバルバラは、仕事で行き詰まり、パリに逃げた。落ち着き先は、特別なつながりのある祖母マルゴーの家。大雪の降った2008年のある朝、バルバラは祖母の家の赤いソファーで眠る、見知らぬ若者と出会う。人を一度も撮ったことがないという謎めいたカメラマンの彼は、バルバラが思いがけない調べ物をするのに手を貸すこととなる。ふたりは、第二次世界大戦中のドイツによる占領を生き延びた女性、祖母マルゴーの秘密を洗いだしていく。恐怖と美しさの間の戦いをめぐる小説。
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文学
NEW
3月32日
32 de març
シャビエル‧ボッシュ
Xavier Bosch
Donegal Magnalia S.L. (Antonia Kerrigan Agencia Literaria)
冷たい雨の降る午後、ブレンダの人生はがらりと変わった。日常から一歩踏み出しただけのところにそんな運命の急変が待ち受けているとは、以前の彼女なら想像もできなかっただろう。ある上品な人物との出会いがきっかけで加速度的に嘘の数が増え、彼女の生活は根本から変わってしまった。彼女の仕事、そして科学への情熱によって、地球上の生命の存続期間をのばせるだろう。だが愛と憎しみ、復讐が混ざり合った感情のカクテルには、スパイ活動、秘密諜報員、細菌戦争、冷酷な殺人、入り組んだ陰謀といった様々な要素が溶け込んでいて、ブレンダはそこから容易に逃れることができない。カナダと英国を舞台に、壮絶なストーリーが展開する。
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文学
99の嘘
99 mentiras
Ediciones Cydonia
スペイン・フェミニズムを代表する存在のひとりが、ジェンダーという観点から自身の人生を考察する。ひとりの知的で聡明で才能ある女性が、夫の陰に隠れて自由も少なく、同意できない決定に従い、子育てに専念するために仕事での成功をあきらめなければならないという人生が、どのようにして起こるのかを詳細に語る自叙伝。起こらないと思っていたことはすべて起こる。それを著者は赤裸々に語る。社会的な場面だけでなく、他人が見たり言ったりすること、率直で皮肉な話の中に、社会階級を超えたところにある結婚や母性の物語に付随する感情の詳細な記録が含まれている。不信、無力感、欲求不満、苦悩、罪悪感、怒りは、何世紀にもわたって女性が抱えてきた感情であり、これまで充分に語られたことがなかった。
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文学
わたしには起こらないはずだった
A mí no me iba a pasar
Donegal Magnalia S.L. (Antonia Kerrigan Agencia Literaria)
作家アーサー・コナン=ドイルが、その主要作品に見られる分析精神と相反する、風変わりな妖精信仰を持つに至った動機とは何だったのだろう? ティンカーベルがネバーランドから容赦なく追放されたとき、ピーターパンはどうやって過ごしたのだろう? モビー・ディックの背に突き立てた、自分自身の銛の綱に絡まり、海に沈んだエイハブ船長は死んだのか? フランケンシュタイン博士がその恐ろしい創造物に命を吹き込むにあたって、本当に効力を発揮した手段は何だったのか? 切り裂きジャックの真の犯罪動機とは? ジミニー・クリケットはその謎めいたカバンのなかに何を入れていたのだろう? これらすべての物語の間に、何らかの関係はあるのか? 書簡、自伝、日記の形をとり、あふれんばかりの想像力と比類ない手法でもって書かれたこの小説では、ここに挙げた問いをはじめとする様々な疑問が次々と解き明かされる。
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文学
軽やかに陽気に
Alada y riente
Armaenia Editorial
アマンダは見せかけの生活を送ってきた。毎日、大嫌いな弟の子守をするよう母に強いられても気にしないふりをする。《親友》に恋人を奪われても傷ついていないふりをする。もう彼のことなど愛していないふりをする。幸せな生活を送っているふりをする。ネイト・ルイスはお坊ちゃん。ネイト・ルイスは大きな家に住んでいて、いつも何の努力もせずにほしいものを手に入れてきた。ネイト・ルイスは自分を大切に思う人などいないと思っている。運命のいたずらで、ふたりが交際しているふりをしなければならなくなったとき、アマンダは気づいた。ネイトと一緒にいると、ありのままの自分でいられる、何かのふりをしなくていい。そんな人は初めてだった。一方ネイトにとってアマンダは、一緒にいると自分が特別で、価値のある人間なんだと感じさせてくれる初めての人だった。だけど、問題がある。ふたりはすでにふりをしていた。愛しているふりをしていた。
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文学
見せかけの愛
Amor fingido
アンドレア‧スミス
Andrea Smith
La Galera Editorial
挿絵入り書籍。旅人で作家のガビ・マルティネスと、考古学者で博物学者そして探検家のジョルディ・サラリョンガ共著による本で、挿絵はジョアナ・サンタマンスが担当。目に見えない動物や、およそ誰も見たことのない動物を探して地上のあらゆる場所を訪れる。すでに絶滅し、もう見ることのできない動物、その生活様式や、人類が直接、あるいは生活環境を損なう形で害を与えた影響により、見ることが非常に難しくなった動物たちについて描写している。自然科学の概念や学術的なデータを、一般の読者にも理解できる言葉で記述してある。かつて在りしもの、在りえたもの、或いは存在の可能性があり発見が待たれる動物たちの説明書でありながら、文学と自然科学の側面を併せ持つ1冊。
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文学
目に見えない動物たち。伝説、生涯と絶滅
Animales invisibles. Mito, vida y extinción
ガビ‧マルティネス
Gabi Martínez
Nórdica Libros
東南アジアを舞台にした冒険小説。出張でシンガポールへ行ったソフィアだったが、運命に翻弄され、お金やパスポートも無く、漂流したボートでひとり大海をさまよっていた。彼女はこの運命と同様、あり得ない形で、バスク出身の向こう見ずな男オリャウリと島の謎めいた住民ジャハンが抱える問題に巻き込まれていく。ふたりはジャワ海で起きた盗難事件の関係者として当局から逃げているお尋ね者だった。盗まれたのは9世紀に遭難した船の残骸に眠っていた品で、海のシルクロードが存在したことを示す唯一の物理的証拠になり得るものだ。しかしこのふたりを探しているのはマレーの当局だけではない。オランダ人と呼ばれる男もまた彼らの後を追っていた。オランダ人はふたりを見つけるためには最悪の手段を取ることも厭わない危険な男だった。古典的な冒険小説の味わいを残しつつカリスマ的な人物が数多く登場する小説になっている。
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文学
群島
Archipiélago
ニナ‧マレロ
Nina Melero
Alianza Editorial
19世紀末を舞台に繰り広げられる厳しくも情熱的な物語。身売りの咎で収監された15歳のシスカや刑務所の視察員コンセプシオン・アレナール、物語の鍵となるフアナ・デ・ベガのような女たち、または性を貪る男たちとの出会いを嘆く悪女たちの声なき声といった複数の声で語られる。この小説は、1863年にア・コルーニャのア・ガレーラ刑務所に収監された囚人たち、この排除された人々が忘れ去られることなく記憶に留められるために書かれた。アレナールとフアナ・デ・ベガは人々の尊厳のために働き、排除された者たちの世話をした。これは紙上で奏でられる歌であり、絶望する人々へ希望を与えるための、または生活をより良いものとするための読み物である。文学的な記載が満載でよく練られた筋書きが印象的な小説。
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文学
悪女
As malas mulleres
マリラール‧アレイシャンドレ
Marilar Aleixandre
Editorial Galaxia
アドナイス賞及びスペイン国営ラジオ局RNEのオホ・クリティコ賞(2018)を受賞したアルバ・フローレス=ロブラが読者に贈る愛の詩集。波乱に満ちた愛、平穏な愛、そして愛の欠如。そしてまた、私たちが見ることは叶わないが、どこかで育ち続けるだろう森の愛。不明瞭な事柄の多い今日にはうってつけの1冊。アルバは近年のスペインの詩の世界に新鮮な声を吹き込む詩人のひとり。そして同時に、最も儚い声でもある。
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文学
アスカ
Azca
アルバ‧フローレス‧ロブラ
Alba Flores Robla
Menoslobos Editorial
846年、ローマ帝国の首都であるローマの街は廃墟と化し、なかば打ち棄てられていた。それでもローマは永遠の都で、教皇が統治し、ペテロ、パウロなど十二使徒の亡骸が限りない財宝に囲まれて眠っていた。カトリック教会はすばらしい財宝を隠している。それゆえ海のかなたのイスラムの海賊たちがローマ略奪を企てる。一方、地中海じゅうで陰謀や戦争の噂がささやかれている。共通する唯一の目的は、繁栄し存続することだ。だれもがそんなふうに、よくも悪くも生きている。ローマ教皇からビザンチンの踊り子、バイキングの統領、あるいは誰もが手にいれたがっている秘密、すなわちギリシャの火の公式を、最も高い値をつけた買い手に売ろうとしている錬金術師まで。イスラム教徒によるローマ略奪という、中世キリスト教における最もドラマチックな事件を描いた小説。
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文学
NEW
火と塩の下で
Bajo el fuego y la sal
ホセ‧ソト‧チカ
José Soto Chica
EDHASA - Editora y Distribuidora Hispano Americana
信心深い娼婦、信仰心のない修道士、脚の悪いインディオ、高潔なならずもの。母は娼婦、父はイギリス人。空腹を追い払うための唯一の手段である苗字もない。それでもカマチョは高潔さという美点だけを手に、糊口をしのごうと奮闘するが、すべてはついえる。あとは絞首刑だ。信心深い娼婦、口をきかないインディオ、信仰心のない修道士、高潔なならずものが、インディアス艦隊の史上最大の荷を狙っている。一方、大洋の反対側、太陽の沈まない帝国ヌエバ・エスパーニャの、熱帯雨が夢を潰すユカタン半島にいるバルバネラ号の船倉は、その当時非常に珍重された染料である商材「アカミノキ」が満載されていった。一方、死神は債務を徴収しようとしていた。
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文学
NEW
バルバネラ
Balvanera
フランシスコ‧ナルラ
Francisco Narla
Agencia Literaria Albardonedo
本書『1980』はすべての家族に当てはまる物語だ。少なくともほぼすべての家族に。つまり欠陥のある家族。ごく一般的な家族ともいう。そこには性的虐待もなければ暴力もない。いるのは強い、たぶん強すぎる女たちと、死んでいるかあるいは生死不明の男たち。70年代の終わりのマドリードに、マリア・ヒメネスの歌を聞き、国民党創設者のマヌエル・フラガを押しのける可能性をもてあそぶ進歩的な母親がいた。突然、未亡人になって自由を手に入れるが、彼女には育てなければならない子どもが3人もいる。そこにもうひとり登場するのが、その子どもたちの世話をする残忍な祖母。わずか16歳だった自分のきょうだいを屍衣で包んだ経験をいつも自慢する。そして上品な金持ちのカタルーニャ人。1980年の午後や夜が暗い影や秘密を抱えて現れると、みんなの人生が変わっていく。語り手である臆病で怒りを抱えた少年の人生は、独特な形で変化する。わたしたちが子ども時代に感じた、人生の重苦しさや家族についての回顧録。
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1980
1980
フアン‧ビラ
Juan Vilà
Editorial Anagrama
国際著作権のエージェントであるバルバラは、仕事で行き詰まり、パリに逃げた。落ち着き先は、特別なつながりのある祖母マルゴーの家。大雪の降った2008年のある朝、バルバラは祖母の家の赤いソファーで眠る、見知らぬ若者と出会う。人を一度も撮ったことがないという謎めいたカメラマンの彼は、バルバラが思いがけない調べ物をするのに手を貸すこととなる。ふたりは、第二次世界大戦中のドイツによる占領を生き延びた女性、祖母マルゴーの秘密を洗いだしていく。恐怖と美しさの間の戦いをめぐる小説。
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NEW
3月32日
32 de març
シャビエル‧ボッシュ
Xavier Bosch
Donegal Magnalia S.L. (Antonia Kerrigan Agencia Literaria)
冷たい雨の降る午後、ブレンダの人生はがらりと変わった。日常から一歩踏み出しただけのところにそんな運命の急変が待ち受けているとは、以前の彼女なら想像もできなかっただろう。ある上品な人物との出会いがきっかけで加速度的に嘘の数が増え、彼女の生活は根本から変わってしまった。彼女の仕事、そして科学への情熱によって、地球上の生命の存続期間をのばせるだろう。だが愛と憎しみ、復讐が混ざり合った感情のカクテルには、スパイ活動、秘密諜報員、細菌戦争、冷酷な殺人、入り組んだ陰謀といった様々な要素が溶け込んでいて、ブレンダはそこから容易に逃れることができない。カナダと英国を舞台に、壮絶なストーリーが展開する。
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99の嘘
99 mentiras
Ediciones Cydonia
スペイン・フェミニズムを代表する存在のひとりが、ジェンダーという観点から自身の人生を考察する。ひとりの知的で聡明で才能ある女性が、夫の陰に隠れて自由も少なく、同意できない決定に従い、子育てに専念するために仕事での成功をあきらめなければならないという人生が、どのようにして起こるのかを詳細に語る自叙伝。起こらないと思っていたことはすべて起こる。それを著者は赤裸々に語る。社会的な場面だけでなく、他人が見たり言ったりすること、率直で皮肉な話の中に、社会階級を超えたところにある結婚や母性の物語に付随する感情の詳細な記録が含まれている。不信、無力感、欲求不満、苦悩、罪悪感、怒りは、何世紀にもわたって女性が抱えてきた感情であり、これまで充分に語られたことがなかった。
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わたしには起こらないはずだった
A mí no me iba a pasar
Donegal Magnalia S.L. (Antonia Kerrigan Agencia Literaria)
作家アーサー・コナン=ドイルが、その主要作品に見られる分析精神と相反する、風変わりな妖精信仰を持つに至った動機とは何だったのだろう? ティンカーベルがネバーランドから容赦なく追放されたとき、ピーターパンはどうやって過ごしたのだろう? モビー・ディックの背に突き立てた、自分自身の銛の綱に絡まり、海に沈んだエイハブ船長は死んだのか? フランケンシュタイン博士がその恐ろしい創造物に命を吹き込むにあたって、本当に効力を発揮した手段は何だったのか? 切り裂きジャックの真の犯罪動機とは? ジミニー・クリケットはその謎めいたカバンのなかに何を入れていたのだろう? これらすべての物語の間に、何らかの関係はあるのか? 書簡、自伝、日記の形をとり、あふれんばかりの想像力と比類ない手法でもって書かれたこの小説では、ここに挙げた問いをはじめとする様々な疑問が次々と解き明かされる。
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軽やかに陽気に
Alada y riente
Armaenia Editorial
アマンダは見せかけの生活を送ってきた。毎日、大嫌いな弟の子守をするよう母に強いられても気にしないふりをする。《親友》に恋人を奪われても傷ついていないふりをする。もう彼のことなど愛していないふりをする。幸せな生活を送っているふりをする。ネイト・ルイスはお坊ちゃん。ネイト・ルイスは大きな家に住んでいて、いつも何の努力もせずにほしいものを手に入れてきた。ネイト・ルイスは自分を大切に思う人などいないと思っている。運命のいたずらで、ふたりが交際しているふりをしなければならなくなったとき、アマンダは気づいた。ネイトと一緒にいると、ありのままの自分でいられる、何かのふりをしなくていい。そんな人は初めてだった。一方ネイトにとってアマンダは、一緒にいると自分が特別で、価値のある人間なんだと感じさせてくれる初めての人だった。だけど、問題がある。ふたりはすでにふりをしていた。愛しているふりをしていた。
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見せかけの愛
Amor fingido
アンドレア‧スミス
Andrea Smith
La Galera Editorial
挿絵入り書籍。旅人で作家のガビ・マルティネスと、考古学者で博物学者そして探検家のジョルディ・サラリョンガ共著による本で、挿絵はジョアナ・サンタマンスが担当。目に見えない動物や、およそ誰も見たことのない動物を探して地上のあらゆる場所を訪れる。すでに絶滅し、もう見ることのできない動物、その生活様式や、人類が直接、あるいは生活環境を損なう形で害を与えた影響により、見ることが非常に難しくなった動物たちについて描写している。自然科学の概念や学術的なデータを、一般の読者にも理解できる言葉で記述してある。かつて在りしもの、在りえたもの、或いは存在の可能性があり発見が待たれる動物たちの説明書でありながら、文学と自然科学の側面を併せ持つ1冊。
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目に見えない動物たち。伝説、生涯と絶滅
Animales invisibles. Mito, vida y extinción
ガビ‧マルティネス
Gabi Martínez
Nórdica Libros
東南アジアを舞台にした冒険小説。出張でシンガポールへ行ったソフィアだったが、運命に翻弄され、お金やパスポートも無く、漂流したボートでひとり大海をさまよっていた。彼女はこの運命と同様、あり得ない形で、バスク出身の向こう見ずな男オリャウリと島の謎めいた住民ジャハンが抱える問題に巻き込まれていく。ふたりはジャワ海で起きた盗難事件の関係者として当局から逃げているお尋ね者だった。盗まれたのは9世紀に遭難した船の残骸に眠っていた品で、海のシルクロードが存在したことを示す唯一の物理的証拠になり得るものだ。しかしこのふたりを探しているのはマレーの当局だけではない。オランダ人と呼ばれる男もまた彼らの後を追っていた。オランダ人はふたりを見つけるためには最悪の手段を取ることも厭わない危険な男だった。古典的な冒険小説の味わいを残しつつカリスマ的な人物が数多く登場する小説になっている。
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群島
Archipiélago
ニナ‧マレロ
Nina Melero
Alianza Editorial
19世紀末を舞台に繰り広げられる厳しくも情熱的な物語。身売りの咎で収監された15歳のシスカや刑務所の視察員コンセプシオン・アレナール、物語の鍵となるフアナ・デ・ベガのような女たち、または性を貪る男たちとの出会いを嘆く悪女たちの声なき声といった複数の声で語られる。この小説は、1863年にア・コルーニャのア・ガレーラ刑務所に収監された囚人たち、この排除された人々が忘れ去られることなく記憶に留められるために書かれた。アレナールとフアナ・デ・ベガは人々の尊厳のために働き、排除された者たちの世話をした。これは紙上で奏でられる歌であり、絶望する人々へ希望を与えるための、または生活をより良いものとするための読み物である。文学的な記載が満載でよく練られた筋書きが印象的な小説。
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文学
悪女
As malas mulleres
マリラール‧アレイシャンドレ
Marilar Aleixandre
Editorial Galaxia
アドナイス賞及びスペイン国営ラジオ局RNEのオホ・クリティコ賞(2018)を受賞したアルバ・フローレス=ロブラが読者に贈る愛の詩集。波乱に満ちた愛、平穏な愛、そして愛の欠如。そしてまた、私たちが見ることは叶わないが、どこかで育ち続けるだろう森の愛。不明瞭な事柄の多い今日にはうってつけの1冊。アルバは近年のスペインの詩の世界に新鮮な声を吹き込む詩人のひとり。そして同時に、最も儚い声でもある。
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アスカ
Azca
アルバ‧フローレス‧ロブラ
Alba Flores Robla
Menoslobos Editorial
846年、ローマ帝国の首都であるローマの街は廃墟と化し、なかば打ち棄てられていた。それでもローマは永遠の都で、教皇が統治し、ペテロ、パウロなど十二使徒の亡骸が限りない財宝に囲まれて眠っていた。カトリック教会はすばらしい財宝を隠している。それゆえ海のかなたのイスラムの海賊たちがローマ略奪を企てる。一方、地中海じゅうで陰謀や戦争の噂がささやかれている。共通する唯一の目的は、繁栄し存続することだ。だれもがそんなふうに、よくも悪くも生きている。ローマ教皇からビザンチンの踊り子、バイキングの統領、あるいは誰もが手にいれたがっている秘密、すなわちギリシャの火の公式を、最も高い値をつけた買い手に売ろうとしている錬金術師まで。イスラム教徒によるローマ略奪という、中世キリスト教における最もドラマチックな事件を描いた小説。
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火と塩の下で
Bajo el fuego y la sal
ホセ‧ソト‧チカ
José Soto Chica
EDHASA - Editora y Distribuidora Hispano Americana
信心深い娼婦、信仰心のない修道士、脚の悪いインディオ、高潔なならずもの。母は娼婦、父はイギリス人。空腹を追い払うための唯一の手段である苗字もない。それでもカマチョは高潔さという美点だけを手に、糊口をしのごうと奮闘するが、すべてはついえる。あとは絞首刑だ。信心深い娼婦、口をきかないインディオ、信仰心のない修道士、高潔なならずものが、インディアス艦隊の史上最大の荷を狙っている。一方、大洋の反対側、太陽の沈まない帝国ヌエバ・エスパーニャの、熱帯雨が夢を潰すユカタン半島にいるバルバネラ号の船倉は、その当時非常に珍重された染料である商材「アカミノキ」が満載されていった。一方、死神は債務を徴収しようとしていた。
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バルバネラ
Balvanera
フランシスコ‧ナルラ
Francisco Narla
Agencia Literaria Albardonedo
本書『1980』はすべての家族に当てはまる物語だ。少なくともほぼすべての家族に。つまり欠陥のある家族。ごく一般的な家族ともいう。そこには性的虐待もなければ暴力もない。いるのは強い、たぶん強すぎる女たちと、死んでいるかあるいは生死不明の男たち。70年代の終わりのマドリードに、マリア・ヒメネスの歌を聞き、国民党創設者のマヌエル・フラガを押しのける可能性をもてあそぶ進歩的な母親がいた。突然、未亡人になって自由を手に入れるが、彼女には育てなければならない子どもが3人もいる。そこにもうひとり登場するのが、その子どもたちの世話をする残忍な祖母。わずか16歳だった自分のきょうだいを屍衣で包んだ経験をいつも自慢する。そして上品な金持ちのカタルーニャ人。1980年の午後や夜が暗い影や秘密を抱えて現れると、みんなの人生が変わっていく。語り手である臆病で怒りを抱えた少年の人生は、独特な形で変化する。わたしたちが子ども時代に感じた、人生の重苦しさや家族についての回顧録。
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1980
フアン‧ビラ
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国際著作権のエージェントであるバルバラは、仕事で行き詰まり、パリに逃げた。落ち着き先は、特別なつながりのある祖母マルゴーの家。大雪の降った2008年のある朝、バルバラは祖母の家の赤いソファーで眠る、見知らぬ若者と出会う。人を一度も撮ったことがないという謎めいたカメラマンの彼は、バルバラが思いがけない調べ物をするのに手を貸すこととなる。ふたりは、第二次世界大戦中のドイツによる占領を生き延びた女性、祖母マルゴーの秘密を洗いだしていく。恐怖と美しさの間の戦いをめぐる小説。
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シャビエル‧ボッシュ
Xavier Bosch
Donegal Magnalia S.L. (Antonia Kerrigan Agencia Literaria)
冷たい雨の降る午後、ブレンダの人生はがらりと変わった。日常から一歩踏み出しただけのところにそんな運命の急変が待ち受けているとは、以前の彼女なら想像もできなかっただろう。ある上品な人物との出会いがきっかけで加速度的に嘘の数が増え、彼女の生活は根本から変わってしまった。彼女の仕事、そして科学への情熱によって、地球上の生命の存続期間をのばせるだろう。だが愛と憎しみ、復讐が混ざり合った感情のカクテルには、スパイ活動、秘密諜報員、細菌戦争、冷酷な殺人、入り組んだ陰謀といった様々な要素が溶け込んでいて、ブレンダはそこから容易に逃れることができない。カナダと英国を舞台に、壮絶なストーリーが展開する。
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99の嘘
99 mentiras
Ediciones Cydonia
スペイン・フェミニズムを代表する存在のひとりが、ジェンダーという観点から自身の人生を考察する。ひとりの知的で聡明で才能ある女性が、夫の陰に隠れて自由も少なく、同意できない決定に従い、子育てに専念するために仕事での成功をあきらめなければならないという人生が、どのようにして起こるのかを詳細に語る自叙伝。起こらないと思っていたことはすべて起こる。それを著者は赤裸々に語る。社会的な場面だけでなく、他人が見たり言ったりすること、率直で皮肉な話の中に、社会階級を超えたところにある結婚や母性の物語に付随する感情の詳細な記録が含まれている。不信、無力感、欲求不満、苦悩、罪悪感、怒りは、何世紀にもわたって女性が抱えてきた感情であり、これまで充分に語られたことがなかった。
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わたしには起こらないはずだった
A mí no me iba a pasar
Donegal Magnalia S.L. (Antonia Kerrigan Agencia Literaria)
作家アーサー・コナン=ドイルが、その主要作品に見られる分析精神と相反する、風変わりな妖精信仰を持つに至った動機とは何だったのだろう? ティンカーベルがネバーランドから容赦なく追放されたとき、ピーターパンはどうやって過ごしたのだろう? モビー・ディックの背に突き立てた、自分自身の銛の綱に絡まり、海に沈んだエイハブ船長は死んだのか? フランケンシュタイン博士がその恐ろしい創造物に命を吹き込むにあたって、本当に効力を発揮した手段は何だったのか? 切り裂きジャックの真の犯罪動機とは? ジミニー・クリケットはその謎めいたカバンのなかに何を入れていたのだろう? これらすべての物語の間に、何らかの関係はあるのか? 書簡、自伝、日記の形をとり、あふれんばかりの想像力と比類ない手法でもって書かれたこの小説では、ここに挙げた問いをはじめとする様々な疑問が次々と解き明かされる。
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軽やかに陽気に
Alada y riente
Armaenia Editorial
アマンダは見せかけの生活を送ってきた。毎日、大嫌いな弟の子守をするよう母に強いられても気にしないふりをする。《親友》に恋人を奪われても傷ついていないふりをする。もう彼のことなど愛していないふりをする。幸せな生活を送っているふりをする。ネイト・ルイスはお坊ちゃん。ネイト・ルイスは大きな家に住んでいて、いつも何の努力もせずにほしいものを手に入れてきた。ネイト・ルイスは自分を大切に思う人などいないと思っている。運命のいたずらで、ふたりが交際しているふりをしなければならなくなったとき、アマンダは気づいた。ネイトと一緒にいると、ありのままの自分でいられる、何かのふりをしなくていい。そんな人は初めてだった。一方ネイトにとってアマンダは、一緒にいると自分が特別で、価値のある人間なんだと感じさせてくれる初めての人だった。だけど、問題がある。ふたりはすでにふりをしていた。愛しているふりをしていた。
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Amor fingido
アンドレア‧スミス
Andrea Smith
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挿絵入り書籍。旅人で作家のガビ・マルティネスと、考古学者で博物学者そして探検家のジョルディ・サラリョンガ共著による本で、挿絵はジョアナ・サンタマンスが担当。目に見えない動物や、およそ誰も見たことのない動物を探して地上のあらゆる場所を訪れる。すでに絶滅し、もう見ることのできない動物、その生活様式や、人類が直接、あるいは生活環境を損なう形で害を与えた影響により、見ることが非常に難しくなった動物たちについて描写している。自然科学の概念や学術的なデータを、一般の読者にも理解できる言葉で記述してある。かつて在りしもの、在りえたもの、或いは存在の可能性があり発見が待たれる動物たちの説明書でありながら、文学と自然科学の側面を併せ持つ1冊。
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Animales invisibles. Mito, vida y extinción
ガビ‧マルティネス
Gabi Martínez
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東南アジアを舞台にした冒険小説。出張でシンガポールへ行ったソフィアだったが、運命に翻弄され、お金やパスポートも無く、漂流したボートでひとり大海をさまよっていた。彼女はこの運命と同様、あり得ない形で、バスク出身の向こう見ずな男オリャウリと島の謎めいた住民ジャハンが抱える問題に巻き込まれていく。ふたりはジャワ海で起きた盗難事件の関係者として当局から逃げているお尋ね者だった。盗まれたのは9世紀に遭難した船の残骸に眠っていた品で、海のシルクロードが存在したことを示す唯一の物理的証拠になり得るものだ。しかしこのふたりを探しているのはマレーの当局だけではない。オランダ人と呼ばれる男もまた彼らの後を追っていた。オランダ人はふたりを見つけるためには最悪の手段を取ることも厭わない危険な男だった。古典的な冒険小説の味わいを残しつつカリスマ的な人物が数多く登場する小説になっている。
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群島
Archipiélago
ニナ‧マレロ
Nina Melero
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19世紀末を舞台に繰り広げられる厳しくも情熱的な物語。身売りの咎で収監された15歳のシスカや刑務所の視察員コンセプシオン・アレナール、物語の鍵となるフアナ・デ・ベガのような女たち、または性を貪る男たちとの出会いを嘆く悪女たちの声なき声といった複数の声で語られる。この小説は、1863年にア・コルーニャのア・ガレーラ刑務所に収監された囚人たち、この排除された人々が忘れ去られることなく記憶に留められるために書かれた。アレナールとフアナ・デ・ベガは人々の尊厳のために働き、排除された者たちの世話をした。これは紙上で奏でられる歌であり、絶望する人々へ希望を与えるための、または生活をより良いものとするための読み物である。文学的な記載が満載でよく練られた筋書きが印象的な小説。
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悪女
As malas mulleres
マリラール‧アレイシャンドレ
Marilar Aleixandre
Editorial Galaxia
アドナイス賞及びスペイン国営ラジオ局RNEのオホ・クリティコ賞(2018)を受賞したアルバ・フローレス=ロブラが読者に贈る愛の詩集。波乱に満ちた愛、平穏な愛、そして愛の欠如。そしてまた、私たちが見ることは叶わないが、どこかで育ち続けるだろう森の愛。不明瞭な事柄の多い今日にはうってつけの1冊。アルバは近年のスペインの詩の世界に新鮮な声を吹き込む詩人のひとり。そして同時に、最も儚い声でもある。
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Azca
アルバ‧フローレス‧ロブラ
Alba Flores Robla
Menoslobos Editorial
846年、ローマ帝国の首都であるローマの街は廃墟と化し、なかば打ち棄てられていた。それでもローマは永遠の都で、教皇が統治し、ペテロ、パウロなど十二使徒の亡骸が限りない財宝に囲まれて眠っていた。カトリック教会はすばらしい財宝を隠している。それゆえ海のかなたのイスラムの海賊たちがローマ略奪を企てる。一方、地中海じゅうで陰謀や戦争の噂がささやかれている。共通する唯一の目的は、繁栄し存続することだ。だれもがそんなふうに、よくも悪くも生きている。ローマ教皇からビザンチンの踊り子、バイキングの統領、あるいは誰もが手にいれたがっている秘密、すなわちギリシャの火の公式を、最も高い値をつけた買い手に売ろうとしている錬金術師まで。イスラム教徒によるローマ略奪という、中世キリスト教における最もドラマチックな事件を描いた小説。
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火と塩の下で
Bajo el fuego y la sal
ホセ‧ソト‧チカ
José Soto Chica
EDHASA - Editora y Distribuidora Hispano Americana
信心深い娼婦、信仰心のない修道士、脚の悪いインディオ、高潔なならずもの。母は娼婦、父はイギリス人。空腹を追い払うための唯一の手段である苗字もない。それでもカマチョは高潔さという美点だけを手に、糊口をしのごうと奮闘するが、すべてはついえる。あとは絞首刑だ。信心深い娼婦、口をきかないインディオ、信仰心のない修道士、高潔なならずものが、インディアス艦隊の史上最大の荷を狙っている。一方、大洋の反対側、太陽の沈まない帝国ヌエバ・エスパーニャの、熱帯雨が夢を潰すユカタン半島にいるバルバネラ号の船倉は、その当時非常に珍重された染料である商材「アカミノキ」が満載されていった。一方、死神は債務を徴収しようとしていた。
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