外に出るたびに風に吹き飛ばされる女の子ペピータ・サルミエントのお話。ペピータがとても遠いところまで飛ばされてしまうことを恐れた家族は、彼女を地上に留めておくための手段を講じた。果たしてペピータを留めておく方法を見つけられるのか。グラシア・イグレシアス(文)とダビド・シエラ(イラスト)が手掛けた素敵な面白い絵本で、どこの家族内にもある多様性をどのように尊重するかを見出すための本。
パウラ・キニョネスは、スペイン内戦中の集団埋葬場所を探すためアサフラン村を訪れる。その不自由な片足を村に踏み入れるや否や、空が彼女の上に覆いかぶさって閉じ込められたような感覚に襲われる。まるで見えないゴムに体を引っ張られ、目的地であるベアト・ホテルから遠ざけられているような感じがしたのだ。そのホテルは「アスフロン」と読める看板の隣にあった。
コロラド州のシルバービルで銀採掘の夢を一撃で葬り去る復讐劇が幕を開けようとしていた。1872年にグレース・マロリーが夫の実家の古い邸宅に住み始めるや否や、彼女は村中の噂の的になった。「大きな空き家にご婦人がひとりで住むなんて」、「夫の銀採掘会社の跡取りのジョンはなぜ一緒じゃないの?」。 ルビー・ローレンスは女性であるがために軽視されることを嫌というほど知っている。だから、グレースに対する彼女の不信感を誰も真剣に受け止めないことにも驚かなかった。
この物語の主人公は毎年誕生日になると特別なプレゼントを受け取る。それは切り抜きの小さなお家。自分の部屋にはこうして集まった5個のお家が飾られていた。しかし両親が離婚した今、5個のお家はふたつの部屋にばらばらにして置かなければならなくなった。もうすぐ彼女の誕生日、でも、とても心配だ。はたして両親は今年も忘れずに小さなお家を贈ってくれるだろうか。優しさを感じさせる独特な切り口で両親の離婚と幼い子どもたちへの影響という繊細な問題を扱った物語。
バルセロナに住むマヨルカ出身の作家が、一連のプライベートな日記を残して亡くなったお騒がせ演劇女優ドラ・ボニンの伝記執筆を依頼される。主人公は次第に、マヨルカに君臨するベルデラ一族の帝国を崩壊させかねない暗い秘密が日記の中に隠されているのを発見する。ドラは、かつて、ベルデラ一族の遺産相続人イジニの妻だった。ふたりの間の息子レオは、偶然にも作家の幼馴染だった。この予期せぬ再会で彼の人生は大きな転機を迎え、自分の過去に立ち向かわざるを得なくなる。
本作は、ベルベル文化のユニークな世界から生まれた本。著者クリスティアン・クルサットは、驚くほどよどみなく、伝説、エッセイ、伝記、旅行記を組み合わせている。読者は、(一般的および地理的な)境界、多種多様な境界についての文章を前にすることになる。その文章の中で論説より優先されているのは、否定しがたい信念、文学は世界を映す真の鏡という信念だ。サハラから地中海にかけての北アフリカに住むベルベル族は、神秘の民族で、その起源はわからないことが多い。
スイフトとブライニーにはきみの助けが必要だ!エジプトの任務はなぞなぞやクイズ、絵文字、そして…危険がいっぱい。ふたりを無事にピラミッドから助け出すことができるかな? 謎解き名人のメダルを獲得できるかな? 我々は日々様々な問題や複雑な状況に直面し、その解決を迫られているが、巧みに問題を解決する能力は幼いころから育むことが肝要。ゲームを通して多様多種な問題を解決する力の習得や、能力を使いこなす熟練度の増進、成績の上昇、思考力の鍛錬など、今後の人生で様々な達成感を得るために手助けとなる本。
みんな、ミニモニが大きくなって帰ってきたよ。相変わらずお絵かきは好きだけど、今はハイキングしたり、おばあちゃんと遊んだり、お友達と会ったりするのも大好き。たまに退屈な時もあるけど、でもね、退屈しない方法を見つけたの! ねえ、教えてほしい? ベストセラー『What Colour is a Kiss?(キスは何色?)』 の愛すべき主人公ミニモニが帰ってきた。この新たな冒険では子供の想像力を掻き立てるために退屈な時間が持つ可能性を探る。
本作を構成する3つの短編は、私的でもあり普遍的でもある心象風景を描いている。それが本著の最大の長所。この短編3作は、モラルの破綻というよりむしろ、私たちが生きる21世紀特有のバイタリティの破綻について描く。今の時代、仕事の成功によって私たちの心は小さな達成感に満たされるが、主人公たちは不安で、しばしば出口のない虚無の中に放り出される。
ティーとカメレオンはきょうだい。きょうだいってことは、すごく運がいいってこと。だってふたりの世界は光に溢れ、はちみつのように甘くて、日々、なにか冒険が起こる。大きな紅茶の雲に乗って旅をしたり、釣りを楽しんだり、ドレミの湖でコンサートがあったり。日本人イラストレーターの鹿島孝一郎が描いた世界に入り込んだ、チリ人作家マリア・ホセ・フェラーダが主人公たちの冒険を物語る。ここでは雲や木々、風景を作り出すもの全てがそれぞれ人格を持っている。