夜、眠れない男、眠る女。男はまどろみのあいだだけ現れるイメージにふけり、「不眠は熾火のような赤い目をした暗い獣だ」と思う。天気予報の原稿を書くアルコールに溺れた元船乗り、「監視されて退屈な」フランコ独裁政権時代のバルセロナに現れる日本人学生など、かつての友人たちが、夜明け前、想い出がつくりあげた幽霊となって、ひとりずつ出てくる。登場人物の人生、現実になるとは限らない彼らの運命は、人生の中で他者が占める真の位置について、読者に自問させる。乾舷(つまり海から出ている部分。
「エルズミーアホテルはハイドパークの南、ロンドンの高級住宅街、ピーターパンの作者の住まいのあったサウスケンジントンにある」奨学金のおかげで大学に入学できることになったリリーは、このホテルに泊まることになり、その豪華さに呆然とする。しかしメレディスにとっては、そのホテルはごく当たり前の場所で、アバにとってもそれは同じだった。アバの一番の関心事は、しつこいコナーにどんなに迫られようと、自分の秘密が明かさないこと。
バスク武装組織ETAが武装放棄を発表したとき、ビトリは、テロリストに殺された夫の墓前で、彼らが住んでいた家に戻る決心をしたと報告する。彼女自身と家族の人生をめちゃくちゃにしたテロ事件の前も後も、彼女に嫌がらせをした人々と同じ場所で暮らすことができるだろうか? ビトリの存在は、村の、特に隣人ミレンの見せかけの平穏を乱すことになる。ミレンはかつて親友だったが、ミレンの息子のホセ・マリは投獄中のテロリストで、ビトリにとって最悪のテロ事件の容疑者だった。
1960年、北極海。ヤンマイエン島の向かいに停泊する古い探査船「エリダヌス号」では全てが変わってしまった。ほんの数日間で、乗組員の船室は留置所に、食料貯蔵庫は取調室に変身。バッヨネと謎めいたドット氏は、そこで執拗なまでの取り調べを進めている。今は船医のクリスティアン医師を尋問する番だ。彼は病気で苦しんでいる。記憶が抜け落ちているかと思えば突然正気を取り戻し、霞がかかっていた部分をはっきりと思い出す。
この小説は、調査報道記者として有名な著者が、スパイ・政治・経済の世界につながりを持つ人物におこなったインタビューから生まれた。主人公はスペインのシークレットサービスCNIの秘密情報部員アナ・マルドナド。彼女はある悪魔教団に潜入する指令を受ける。その教団にはスペインの要人たちが名を連ね、CNIが持つデータによれば、CIA(米国中央情報局)の隠密作戦のための隠れ蓑である。
獣脚亜目の恐竜たちは1億3千500万年もの間地球を支配していた。ほとんどが肉食の獣脚亜目に、私たちは畏敬をこめた恐れを抱きつつも魅せられる。直系の子孫は現在では鳥類として世界中の大陸で私たちと共存している。本書はこれまでに出版された獣脚亜目の記録の中で、最も詳細で厳密な書籍である。2000以上の図解や説明図と、300以上のカラー復元図を駆使して約1000種に上る有名な恐竜を紹介する。各章の内容は以下のとおり。「比べてみよう」獣脚亜目のうち最大のものはどれか、最小のものはどれかを示す。
ベッドタイムの母と子の対話の本。だがこれは、日中いつでもどこにでもある親子のやりとりではない。
昔々、あるところに凛々しい王子がいた……昔々、あるところにふたりの勇敢な王女がいた……昔々、あるところに謎めいた吟遊詩人がいた……昔々戦争があり、彼らの運命が出会った。ファエシアの地へようこそ。そこはおとぎ話が見かけ通りではなく、満月の後ろに秘密が隠れている土地だ。
人の心を巧みに操る老人と、美しく先見の明のある女性アーティストのラブストーリー。分類不可能なバラード、時にノワールのパロディ、時に誰が語ったかだれにもわからない家族史でもある。私たちの生きるグローバルではっきりせず、悲劇的で浮かれた世界を、皮肉たっぷり痛烈に映し出す。この世界では、人間は思いもよらぬ時に現れる。お金の陰で、あるいは主人がおらずスペースもないような環境で。スペイン語ではあまり聞かない優しさとユーモアを介した、寄る辺ない身を訴える叫び。
ビンテージイラスト入りの古典童話。本文はヨーロッパ言語共通参照枠B1レベル相当のスペイン語でリライトされている。中級者・自立した言語使用者向け。該当レベルに合わせて本文中で目立たせた単語の語彙集つき。