人の心を巧みに操る老人と、美しく先見の明のある女性アーティストのラブストーリー。分類不可能なバラード、時にノワールのパロディ、時に誰が語ったかだれにもわからない家族史でもある。私たちの生きるグローバルではっきりせず、悲劇的で浮かれた世界を、皮肉たっぷり痛烈に映し出す。この世界では、人間は思いもよらぬ時に現れる。お金の陰で、あるいは主人がおらずスペースもないような環境で。スペイン語ではあまり聞かない優しさとユーモアを介した、寄る辺ない身を訴える叫び。レトリックを極力省いて語られる、この悲劇的かつ魅力的なストーリーは、読者にとってまさにひとりのチリ人作家の発見になるだろう。ウエルタ・グランデ社が自信をもって紹介する。