日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました(あいうえお順/敬称略)。太田昌国(現代企画室)/ カンタン・コリーヌ(フランス著作権事務所)/ 鴻巣友季子(英語圏文学翻訳家・文芸評論家)/ 多賀谷太郎(福音館書店)/ 野谷文昭(東京大学教授)
各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略)。青砥直子 / 井原美穂 / 宇野和美 / 潤田順一 / 小原京子 / 金関あさ / 佐藤まゆり / 嶋田真美 / 高際裕哉 / 灘辺佳代子 / 長谷川晶子 / Javier Fernández Sánchez / 宮崎 真紀/ 村田名津子 / 安田晶 / 矢野真弓
ジャーナリスト、アナ・R・カニルは、ある恐ろしい歴史を長い間追ってきた。スペイン内戦後の女性服役者たちの物語である。彼女たちが獄中で産んだ子どもは、看守に奪われ、全寮制の神学校や修道院に送られたり、養子に出されたりした。この残酷な仕打ちは、全体主義体制特有のえせ科学理論によって正当化され、その時代の有力な医師や聖職者や律法学者らにも完全に支持されてきた。これを題材にノンフィクションを書き始めた著者は、書くうちにのめりこみ、小説にせずにはいられなくなった。
わたしの名前はロレーナ、歳は――16歳になったけど今は歳がないと言うべきか、16歳で、これから先ずっと16歳と言うべきか。じゃ、こう言えばいいかな。わたしの名前はロレーナ、約1カ月半前から死んでいる。
妻の性欲をよびもどすために、夫がこっそりプロのセックスサービスを雇うことはあり得るか? 夫婦が性生活をとりもどすために、夫が第三者に頼るのは矛盾ではないか? やきもちは愛か、それとも傷ついた虚栄心か? 愛のために、どこまで掟やぶりが許されるのか? 愛する者の秘密が暴露されたとき、どこまでなら受け入れられるか? エリックは、自分がゲームを楽しんでいるうちに、パンドラの箱を開けてしまったのを分かっている。しかし、アンナの秘密を知りたいという誘惑はあまりにも強い。