この物語は、他者に対する自分自身の価値を教えてくれる。わたしたちはときとして、人の持っているものばかりが気にかかるのだが、大切なものや真実のものは、かけがえなく貴重で唯一にして無限の、ひとりひとりのなかにあるのだ。
ポルトガルの伝説を題材にした絵本。海と山、ふたりの巨人がひとりの人魚に恋をして、対決することになった。伝説の再話と挿絵は2014年ボローニャSM財団賞を受賞したポルトガルのイラストレーター、カタリーナ・ソブラル。
11歳の女の子、ウルスラの生活はちょっと複雑。何度も小学校をかわり、母さんはメトロポリタン美術館から絵を盗んで、逃亡生活を送っている……。ちがう……、そうじゃない。ウルスラはレベッカと名乗る11歳の女の子で、母さんを消してしまった魔法使いたちが大嫌い。それともレベッカは有名なスパイで、追跡をかわすためにウルスラと名乗っている? まあ、いずれにしても11歳で、箱のなかの5匹のミミズと、宇宙で迷子になったネコを飼っている。
今日誰がサラ・アマットのことを憶えているだろうか? ある夏の夜、行方不明となったとき、彼女は13歳かそこらだった。以後何もわかっていない。ただ、翌日タラサ新聞にニュースが出て、多くのうわさや憶測が飛びかっただけだった。だが、この物語の語り手である、サバテール家のペップは彼女のことをよく覚えている。というのも、彼の話によれば、サラはその夜、姿を消したのではない。彼の家に裏口から忍び込んだからだ。
家で一番小さな子の部屋に、夜ごとひとりの客が現れ、恐怖からか感動からか、その子を震え上がらせる。マルガリータの文とナタリア・コロンボのイラストが最後まで興味を持続させつつ、なんだかわからないもの、立ち向かわなくてはならないコントロールできない物や状況に対する子どもの恐怖心を描く。サスペンス調の楽しい語りは、子どもたちをひきつけずにはおかない。
この小説のあらすじを説明するのはやめておこう。多くの場所で目にするだろうから。ただ、これがキャシー、スティーブン、コーリー、ケリー、マシュー、ダン、ダニエル、レイチェル、イザイア、ジョン、ローレン、カイル、ウィリアムの思い出に捧げた本だということは言っておこう。そう、コロンバイン高校の恐怖の犠牲者たちだ。意味が分からなければ、調べてほしい。このテーマに興味があって、怖くなければ、読んでほしい。
友だちと仲直りするときのハグの魔法にあなたは気づいてる? 顔が赤くなるのがわかって、隠れたくなったことはない? がっくりして腹が立って泣いたことは? 恐怖心、やさしさ、嫉妬、喜び……は、本書に出てくる気持ちの一部だ。快くないものもあれば、すばらしいものもあるが、いつでもそういういろんな気持ちが人生を、どこかわくわくする生きるに値するものにするのだ。
Laura en la ciudad de los santos (聖人の街のラウラ)は、誰もが認める20世紀カタルーニャ文学の古典のひとつ。地方都市コマルキナルの裕福な家の跡取り息子との結婚によって自己実現をしようとする、世間ずれしていない魅力的な女性の物語。しかし、彼女はすぐに、欲得ずくの上品ぶった保守的社会の裏に隠れた偽善に気づく。ラウラはボヴァリー夫人と共通点が多いが、最終的に反抗するところが違っている。
オレはライオン、カミカゼ・ライオンだ。家族は持ったことがない。友だちもいない。1度だけ恋をした……。オレは3回生きた。1回め、世界に拒まれた。2回め、皆に嫌われた。3回め、まだ自分が何者かわからない。オレはライオン、カミカゼ・ライオンだ、これがオレがこれまでたどってきた道だ。
パレンケ村では、ほとんどだれも字を読めない。店の主人のべランディアさんは、字が読める数少ない人のひとりだ。ヒナは手紙をうけとりはじめたとき、ラブレターだと思っていたが、弟はその謎めいた手紙を読んでみたくて字をおぼえようと決心する。コロンビアでよく知られた作家イレーネ・バスコによる、コロンビアの小さな村から届いた、心あたたまる識字のお話。