ジャック・ウィンガーは、事故に会って完全に記憶を失い、とある療養クリニックに入院する。そこで、彼は事件記者だったこと、病院に見舞いに来た人はいなかったこと、入院者は全員記憶喪失の患者だと説明を受ける。ただし、患者全員が夜毎繰り返しひどい悪夢にさいなまれていることは誰も教えてくれない。看護師長が時々森に入院患者を連れて行き、ひとりで戻ってくることも、立入禁止で入口が隠された塔があることも誰も教えてくれない。
1941年、スペインのエストレマドゥラで起きた犯罪がアルカラ家の家族3代と、40年間彼らと関わりあった人々に影響をもたらす。陰謀、誘拐、殺人、拷問、男性から女性への暴力などをもりこんで、小説は展開する。著者は、ルポルタージュ的かつ軽快な文体で、起こった出来事を語り、登場人物ひとりひとりの心理に入り込みながら、少しずつ双方の人々を絡み合わせていく。その結果、感情と遺恨、愛と憎しみ、野望と苦悩、偽善ととりわけ罪悪感が渦巻く素晴らしい推理小説となった。
地下鉄のトンネル工事を進めていた掘削会社の責任者である若きエンジニアが、忽然と姿を消した。これが、私立探偵フェルミン・エスカルティンが立ちむかう、身の毛のよだつ事件の始まりとなる。大学教員から探偵に転身したフェルミン・エスカルティンは、フェルナンド・ララナのミステリーシリーズの主人公。『トンネル掘り』は中でも、鋭い皮肉と真に迫る恐怖が冴えわたる、一度手にとると最後まで一気に読まずにいられない秀作ミステリー。
手の届く幸福、良識的なそれなりの満足感をもたらす様々な生き方を探る本。スペイン全国でめざましく活躍する哲学者のひとりハビエル・サバダがそのために提唱するのは、人間のありのままの現実をうけいれること。永遠の幸福という、しばしば宗教の衣をまとった偽の約束を著者は批判する。日常生活こそ充実した生活を実現する場所であって、退屈や昂揚した幻想を抱くところではないと考える。一方で、知識は私たちの生活の質をどこまでも高めてくれる。
中国の女性エコロジスト、ペルーの男性シャーマン、ニュージーランドのマオリ族女性、ロシアの女性宇宙飛行士の卵…。共通点は何だろう? 悩みは何だろう? どんな暮らしをしているのだろう? どんなふうに将来に立ち向かうのだろう? これはジャーナリスト、マルク・セレナが1年間にわたって世界一周をし、25か国の同年齢25歳の若者25人とともに暮らしながら問いかけた質問である。
ダビッドは、ホセ・マリア・プラサの冒険ミステリーシリーズLos Sin Miedo(恐れを知らぬ者たち)の主人公である若者たちのひとり。祖父の家で見つけた古い手稿で読んだ怪談を、いつも(場違いなときでさえ)仲間たちに話している。幸い、いつも最後まで話すことができない。
マルティン・ベラセテギが提案する、簡単でおいしい150のお気に入りレシピ。
マルティン・ベラサテギと「エル・パイス‐アギラール」出版がふたたびタッグを組み、おいしいものに目のない読者に、最高においしい料理を紹介する。家庭料理を基本としているが、マルティン・ベラサテギが真摯に腕をふるってつくりあげた料理には、名人の味が加わる。
東洋の古い伝説の語りにしたがって、秘密と影から成る独特の世界へと作者はいざなう。知恵をきわめようとするネコ、沈黙の王国を支配しようとするスルタン、絹の言葉で思いを表現する口のきけないじゅうたん織り。すべて迷路だらけの魔法の街イスタンブールで起こる。
アドリアンはとても変わった青年。それは彼の行動に自閉症の特徴が見られるからだけでなく、7番目の子どもだからだ。山の伝承によると、7番目の子どもはオオカミ人間に変身するという。さらに、時々夜になると奇妙な発作に襲われるせいで、アドリアンは誰からも理解されない。そこで、村を出、今は兄セノン、兄の恋人、仲間と呼んでいる自分の犬とともにワゴン車で暮らし、スペインじゅうを放浪している。
スサナは、はじめてひとりで服を着ました。うまくいったと思いきや、白いくつしたが片っぽ、どこにも見あたりません。いったいどこにいったのでしょう? スサナといっしょにくつしたをさがしてね!
スペイン語と英語のバイリンガル版。色と数字をおさらいするための単語集つき。対象読者5歳以上。