手の届く幸福、良識的なそれなりの満足感をもたらす様々な生き方を探る本。スペイン全国でめざましく活躍する哲学者のひとりハビエル・サバダがそのために提唱するのは、人間のありのままの現実をうけいれること。永遠の幸福という、しばしば宗教の衣をまとった偽の約束を著者は批判する。日常生活こそ充実した生活を実現する場所であって、退屈や昂揚した幻想を抱くところではないと考える。一方で、知識は私たちの生活の質をどこまでも高めてくれる。中身のない政治の世界への批判、ユーモアの再発見、生真面目さを笑いとばす態度が、私たちが切望する良い生き方を補完する。魂の平安と健康な身体、そしてもっと平等な社会を手にいれる鍵を握るのは、私たち自身だ。