1941年、スペインのエストレマドゥラで起きた犯罪がアルカラ家の家族3代と、40年間彼らと関わりあった人々に影響をもたらす。陰謀、誘拐、殺人、拷問、男性から女性への暴力などをもりこんで、小説は展開する。著者は、ルポルタージュ的かつ軽快な文体で、起こった出来事を語り、登場人物ひとりひとりの心理に入り込みながら、少しずつ双方の人々を絡み合わせていく。その結果、感情と遺恨、愛と憎しみ、野望と苦悩、偽善ととりわけ罪悪感が渦巻く素晴らしい推理小説となった。子が父の罪を受け継ぎ、孫が祖父母の罪を受け継ぎ、代々汚点がひきつがれていく。