Víctor del Árbol
ビクトル‧デルアルボル
1968年バルセロナ生まれ。1992年から2012年までカタルーニャ自治州政府で働く公務員だった。バルセロナ大学で歴史を学び、2年間、社会問題を描くラジオ番組Catalunya sense barreres(カタルーニャ‧バリアフリー、Radio Estel、視覚障害者協会ONCE)でキャスター、執筆者。作家としては2003年、El abismo de los sueños(夢の深淵、未刊)が第8回フェルナンド‧ララ賞最終候補となり、2006年にはEl peso de los muertos(死者の重さ)でティフロス小説賞を受賞。2011年に出版したLa tristeza del samurái(サムライの悲しみ)は8言語に翻訳され、フランスでベストセラーとなり、ヨーロッパの優れた犯罪小説に贈られる欧州推理小説賞の2012年度最優秀作品に選ばれた。
1941年、スペインのエストレマドゥラで起きた犯罪がアルカラ家の家族3代と、40年間彼らと関わりあった人々に影響をもたらす。陰謀、誘拐、殺人、拷問、男性から女性への暴力などをもりこんで、小説は展開する。著者は、ルポルタージュ的かつ軽快な文体で、起こった出来事を語り、登場人物ひとりひとりの心理に入り込みながら、少しずつ双方の人々を絡み合わせていく。その結果、感情と遺恨、愛と憎しみ、野望と苦悩、偽善ととりわけ罪悪感が渦巻く素晴らしい推理小説となった。子が父の罪を受け継ぎ、孫が祖父母の罪を受け継ぎ、代々汚点がひきつがれていく。
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文学
サムライの悲しみ
La tristeza del samurái
ビクトル‧デルアルボル
Víctor del Árbol
Donegal Magnalia S.L. (Antonia Kerrigan Agencia Literaria)
バルセロナ警察の警部、フリアン・レアルはつらい時期を過ごしていた。ガンと診断されて余命は長くないうえ、仕事では未成年虐待の容疑者に対する暴行で懲戒処分を受けたばかりだ。そんなフリアンがガリシアの故郷を訪れた後、彼と関係のある人々の死体が数体発見された。上官は過去の恨みの復讐として、フリアンに罪を着せようとしていた。フリアンと相棒のビルヒニアはとてつもなく難解な捜査に引きずり込まれ、彼ら自身や彼らの愛する人々の命までも危ぶまれる。フリアンは現在だけではなく過去の清算も求められていた。夢が時として悪夢に変わっていく様を描いた小説。
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