恋人同士の波乱万丈な物語。真実の愛が手に入らないとき妖精はどうなるだろうか? リリは妖精を信じている、マルレーンは信じていない。マルレーンは慎重、リリはクレイジー。読者はこの双子のおかげで、ベルリン出身のカタルーニャ語教師である母親と、「ママの新しい恋人」の間のどきどきの恋の行方を目の当たりにできる。舞台はバルセロナ。ベルリンを出たときは小学生になったばかりだった双子のまなざしは、裁くことなく、母親と恋人の弱点や欠点、素晴らしさや喜びをとらえていく。
1936年冬。スペイン第二共和政に対して蜂起した反乱軍は、マドリードの街を爆撃した。共和党政府はそれを受け、プラド美術館から最も貴重な絵画を避難させることにする。それは非常に面倒で複雑なミッションだった。その危険な冒険に、この小説の主人公フィデルとリサンドロはまきこまれる。ふたりは、マドリードの大きな金物屋の倉庫で働く同僚で、共通の趣味である絵画に暇な時間のほとんどを費やしていた。戦争のなりゆきで、ふたりは同じ陣営内だが別々の派閥に分かれてしまう。
複数の家族と隣人たちの1年間の暮らしを描いた、心を揺さぶる群像小説。親と子、若者と老人、前に進もうと勇気をふるい起こして生きるごく普通の人々。思いがけず知人に支えられた者もいれば、新たなチャンスにかけた者もいるが、みな、パンにキスして感謝の気持ちを表していた昔の人々と同じように辛抱強く踏ん張っている。それらをもとにこの小説は、ほろ苦い瞬間、大都市の中できらりと輝く連帯、運命の交差点での友情や愛情の細やかな物語を紡ぎ、ごく最近のスペインの感動的な肖像を描きあげた。
母語以外で書くようになった作家に対するすばらしい風刺。東ヨーロッパから移住した男性がベルギーの精神病院へ入院し、言語の再組み込み治療を受ける。彼は母語で書かないことに由来する病を患っていた。しかしこの病院の患者は彼だけではなかった。しかも、みな彼と同じ「外国作家シンドローム」の患者ばかり。
一見何の価値もなさそうな風変わりな絵画1点が瓦礫の中から偶然発見される。しかし実際はとてつもなく貴重な美術コレクションの一部だとわかる。それは独立戦争の真っ只中、テルエルのマエストラスゴの村、バルデロブレスの地下に掘られた入り組んだトンネルの片隅に、知識人たちによって隠されたコレクションだった。そのお宝を探し出そうと人々が殺到し、追跡と死の狂奔劇に巻きこまれていく。