複数の家族と隣人たちの1年間の暮らしを描いた、心を揺さぶる群像小説。親と子、若者と老人、前に進もうと勇気をふるい起こして生きるごく普通の人々。思いがけず知人に支えられた者もいれば、新たなチャンスにかけた者もいるが、みな、パンにキスして感謝の気持ちを表していた昔の人々と同じように辛抱強く踏ん張っている。それらをもとにこの小説は、ほろ苦い瞬間、大都市の中できらりと輝く連帯、運命の交差点での友情や愛情の細やかな物語を紡ぎ、ごく最近のスペインの感動的な肖像を描きあげた。著者曰く、「これは多くの物語からなる物語。そうはならなかったものの、全てがひっくり返るのではという恐怖を人々に与えた経済危機という台風の目の中で、自分らしくあり続けようとしたマドリードの下町の物語」