恋人同士の波乱万丈な物語。真実の愛が手に入らないとき妖精はどうなるだろうか? リリは妖精を信じている、マルレーンは信じていない。マルレーンは慎重、リリはクレイジー。読者はこの双子のおかげで、ベルリン出身のカタルーニャ語教師である母親と、「ママの新しい恋人」の間のどきどきの恋の行方を目の当たりにできる。舞台はバルセロナ。ベルリンを出たときは小学生になったばかりだった双子のまなざしは、裁くことなく、母親と恋人の弱点や欠点、素晴らしさや喜びをとらえていく。しかしまた、夢がかなうかもしれないという幻想に目がくらんで、限りをしらず全てを賭けてしまう関係にひそむさもしさも浮き彫りにする。そこには犠牲者も死刑執行人もいない。「あなたが好きと分かってもらうために、これ以上何をあげればいいというの?」