セシリアはシルビオを訪ねる唯一の人間だ。シルビオは彼女の親友のおじいちゃん。シルビオはこれまで誰にも話そうとしなかった、ある伝説的人生についてじっと胸に秘めている。シルビオは写真が入った箱を見せながら、セシリアにザッカリー・ウェストとの魅惑的なストーリーを話し始める。ウェストは風変りな米国人で、彼がリバノバにやって来たことが周囲の人たちの運命を変えてしまった。ウェストによって、ドイツでナチス台頭が引き起こした恐怖を知り、そして理想のために自分の命を犠牲にするという価値観を学ぶ。
経済危機下のマドリード。夜は「バールの壁にぶつかって砕けた挫折した感情と夢と情熱の場」である。30代というもうひとつの危機を目前にした登場人物たちが、自分の道を探し求める。主人公の女性は行政訓練校に通う、60年代を懐かしむ作家で、つましい暮らしをしながら世界を変えようと目論んでいる。その友人には、唯一の解決法は光と闇との激しい戦いで全てを破壊することと考える元学生、美貌が却って仇になっている失業中の女優、 「持続可能性フリーク」のばりばりのIT技術者、好奇心旺盛で野心家の成金などがいる。
ベロニカは10歳の時、一度も見たことのない女の子の写真を見つける。それ以来、彼女の家の中の悲しさ、言い争い、沈黙には、誰も触れたくない何かが隠されているような感覚を抱えて生きてきた。年月が過ぎ、思春期のベロニカにふりかかる母親の病気。そして盗まれた過去がベロニカをあの写真の女の子にどんどん近づけていく。
だれもが知る昔話を、性差別・不平等・暴力の要素なしに再話したシリーズ。おひめさまはいつもかよわくて従順でほっそりしていて、王子さまは決断し冒険し、魔女は悪くて賢明さに欠け、愛さえあればなんでもできる……。こういった神話や偏見を取り除き、オリジナルにくらべて意義のある物語になっている。著者はここで提案する男と女の新しいモデルが、子どもたちにとっての平等の見本になるよう願っている。この「シンデレラ」の主人公の娘は、舞踏会に行って王子さまと恋に落ちたりはしない。
だれもが知る昔話を、性差別・不平等・暴力の要素なしに再話したシリーズ。おひめさまはいつもかよわくて従順でほっそりしていて、王子さまは決断し冒険し、魔女は悪くて賢明さに欠け、愛さえあればなんでもできる……。こういった神話や偏見を取り除き、オリジナルにくらべて意義のある物語になっている。著者はここで提案する男と女の新しいモデルが、子どもたちにとっての平等の見本になるよう願っている。この「眠れる森の美女」の主人公は娘は、くだらないものではなく、本当に大事な3つの贈り物を授かる。
本書は思春期向けの書籍だが、全ての年齢層の読者に好まれる作品。この誠実な物語の主人公はクアシ。現代社会の良識の声ともいえる思春期目前の女の子だ。彼女が体験する波乱万丈とともに、私たちは人情、団結、自己アイデンティティの模索、人の成長について多くを学ぶ。その文章は、想像力に溢れ、メタファーや言葉遊びに満ち、それらによって読者は著者が提案する考察に優しく導かれていく。本書では全てが明るく楽観的で、価値観について教えるだけではなく、非常に楽しい体験を与えてくれる。
バスクのあるテロリストが25年の刑期を終えて出獄する。彼が服役中、組織の幹部は政府を相手に戦闘中止の交渉を進めていた。出獄した男は昔の仲間に失望して単独で動くことにし、カタルーニャのリポリェー山中の村に身を潜めて新たな襲撃を準備しようと決心する。彼は名を伏せて隠れ住むのだが、村にはかつて村人同士を対立させた古傷があり、やがてそれが暴力となって噴出する。彼はそこで、自分の大義への忠誠を貫くべきか、無垢の人を護るべきか、選択をせまられる。
王子なのか詐欺師なのか? メキシコのアステカ族の王モクテスマの最後の子孫の奇想天外な物語。16世紀にモクテスマの娘のひとりがスペイン人貴族に拉致され、ピレネー山中の人里離れた村に連れていかれた。そこで男児を生んだことが、21世紀まで続く狂気の血統の始まりとなる。この話に魅せられた語り手は、アステカ王女と息子の子孫である、バルセロナ上流階級の男、キコ・グラウのとても本当とは思えない実話を発見する。
カダケス郊外の荒れた屋敷に住むサイモン・シュナイダーは、大成功を収めたある作家のために仕事をしている。その作家は自分のことをグラン・ブロスと呼ばせ、ニューヨークに隠れ住んでいる。サイモンは言ってみれば「北斎」のような存在。つまり、ほかの作家たちのために適当なフレーズを提供する仕事をしている。だが、その中にかの有名なトマス・ピンチョンがいることを彼は想像すらしていない。ある日の午後、無限を表す文章を思い出すことに行き詰ったサイモンは、屋敷を出て長い散歩にでかけ、失念した引用文を探す。
客の到着を待ちながら携帯でお喋りするふたりの少⼥。通りでは発砲⾳や爆発⾳がしている。ある⽇テレビが彼⼥たちに話し始め、逃げるよう促す。100キロの重さがあり、DNAのレベルまで溶け込む着脱テクノロジーのお陰でブッダのなりをしてウェイターをつとめる哀れな悪魔。着ぐるみを制御するソフトウェアが機能しなくなった時に問題が⽣じる。ある⼤⾂は都市計画にまつわる不正⾏為を働くよう指⽰をうけるが、実はもっとうさんくさい別物だった。