経済危機下のマドリード。夜は「バールの壁にぶつかって砕けた挫折した感情と夢と情熱の場」である。30代というもうひとつの危機を目前にした登場人物たちが、自分の道を探し求める。主人公の女性は行政訓練校に通う、60年代を懐かしむ作家で、つましい暮らしをしながら世界を変えようと目論んでいる。その友人には、唯一の解決法は光と闇との激しい戦いで全てを破壊することと考える元学生、美貌が却って仇になっている失業中の女優、 「持続可能性フリーク」のばりばりのIT技術者、好奇心旺盛で野心家の成金などがいる。そしてその周囲で、皮肉屋、うつ病患者、買収された人間、社会からの逃避者などがうごめき、15-M運動、捜索、どんでん返しが起こる。映画のように明確なイメージで、現代社会を活き活きと描きだす。