スペインを代表する靴のブランド、カンペールの歴史。バレアレス諸島の小さな工房として創業して、世界各地の一級地に店舗を構えるまでを振り返る。作者パブロ・アダンは、今やスペインでも有数の国際的ブランドとなったカンペールの内部に入り、いかに成功を築きあげたか、いかにして現在の世界的名声を得るにいたったかを読者に語り明かす。
知識のベールの下に神の言葉に背く迷信や異端を隠している、極めて危険な本というのがあるものだ。中でも特に邪悪とされたな1冊の本がある。数人の男たちがこっそり保管していたこの本を、異端審問所が血眼になって探すようになり、15世紀末、著作物とその所有者をめぐるものとしては歴史上最大規模の追跡が引き起こされた。この特別な本を守る男たちは、不運にもこの最後の1冊と運命を共にする。神が聖書に残さなかったものをすべて焼き尽くさんとする火の池から救いださなければならない本。
パコ・ロカが描く四十男の日常――それは、ようやくかなえた子どものころからの夢、パジャマを着たまま1日中家のなかで過ごす生活だった。多分に著者の自伝的要素を含んだ、テレビのコメディー・シリーズ『となりのサインフェルド』を思い起こさせるこの作品は、爆笑より、にやりとする笑いを誘う。
春のある日、ブタくんは、森でいっぷう変わった科学者、キャンベル教授とばったり会う。好奇心旺盛で積極的なブタくんは、教授の助手になって、大いなる科学の冒険について行きたいと思う。もちろん、教授の荷物だって持つつもり。
スペインで最も名高い編集者のひとりの回想録。本と同じだけ古くからあるこの職業の、いわば弁明の書である。この中でムクニックは、迫りくるデジタル革命の中でも、編集者の仕事は削除したり排除したりできない職業だとしている。すなわち著者が過ちをおかさないよう守り、そして読者をもまた過ちをおかさないよう守るのが編集者なのだ。
歴史、神話と、回想的物語を集めた本。
地中海は迷宮のように入り組んでいるが、日のさした冬の広場のようにふところが深い。この海を愛してやまない作者が、鮮やかな色彩を使いざっくりとした筆づかいで描いた印象派の絵画のように、示唆に富んだ地中海の姿をうきぼりにする。地中海には、3つの大陸の風景と人々が顔をのぞかせる。すべてはその海岸から始まったのだ。
本書はフラメンコの世界に入ってみたいと願う人を対象にしているが、フラメンコ通の人たち向けでもある。全てのフラメンコ・ファンのために、本書の中には、歴史を通じての曲種の様々な分類、フラメンコ民謡の形式、アンダルシア方言の特徴、フラメンコの詞によく見られるジプシー用語、様々な曲種の韻の踏み方及びそれらの研究について取り上げられている。また、フラメンコがどのように生まれたかについての興味深い理論や、フラメンコ芸術の形成に、ある意味、影響を与えたアンダルシアの歴史についての基礎知識も取り上げる。
エルサ・プンセットが明瞭でシンプルな言葉で述べるように、生活や人間関係を変えていくには「私たちが考えるほど、多くのものは必要ない。私たちを取り巻く現実を理解し対処していく助けとなるものは、軽いリュックひとつに十分収まる」。
他者を理解し、感情の宇宙でどうにかうまくきりぬけていきたい人に必携の書。
ひとりの女が夫を精神病院に入院させた後、列車でマドリードへ帰るときのこと、列車の中で見知らぬ男に、彼の人生の話を聞きたくないかといきなりたずねられる。男は先刻の精神病院で働いている精神科医。患者の語ったことや書いたものを通して人格障害を研究しているという。その文書が入ったファイルを、男はたずさえていた。ところが、男は途中駅でしばしホームに降りたときに列車に乗り遅れ、ファイルは女の手に残される。こうなると、読者は女とともにファイルの中身を読みたくてたまらない。
実際にはいるわけのない動物たちの、独創的で楽しい寓話集。空想の世界ではどんな虫も動物もありえる。そんな空想世界でダニエル・モンテロが読者を驚かす。意表をつくイラストレーションに、読者の目はくぎづけ。