16歳の少年サムエルが主人公の探偵小説。サムエルは家族の事情で、探偵事務所を経営している叔父のフアン・ドミンゴのもとに一時的に身を寄せ、叔父の新しい事件に協力することになる。ふたりで一緒に捜査するうちに、ラ・マンチャのワイン醸造家が高価な宝石〈ポリュペモスの目〉を盗まれたことを発端とする、張り巡らされた陰謀に気付く。事件にかかわりがあると見られるのはダミアン・ロメロという行方不明者とその同僚たち、古美術商、宝石商、骨董品を集める女性とその甥。
猛吹雪の山の中でひとり迷子になった小さなアリはどうすればいい? 冬眠したシロクマが何度も目を覚ますのはなぜ? シロクマと出会って安らぎと温もりを見つけた小さなアリの美しい物語。けれども最悪の状況で見知らぬ場所にやって来たアリにとっては、寒さから逃れ、手厚いもてなしを受けるだけでは不十分で、連れ添い、認めてくれる存在が必要だった。
理論家というより、ルシオ・ウルトゥビアは、断然、行動する男。彼の人生は、戦いに次ぐ戦いだった。多くの人の考えに反し、それが彼の遺産であり、ルシオの宝だ。ナバラ出身のアナキスト、ルシオ・ウルトゥビアとの尽きることのない会話やインタビューに基づいて、作者のベラッツは、ルシオの人生に影響を与えた行動、場所、人物、出来事、雰囲気を鮮明かつ綿密に再現する。自身もナバラ州のパンプロナ出身のイラストレーター、ベラッツが、ルシオの公式伝記作家として、最も有名な出来事や、あまり知られていない冒険を語る。
サグラダ・ファミリア(聖家族)教会が崩壊し、教会と共に、エルダの中で何かが壊れる。エルダは辛い過去との折り合いをつけるために、神戸からバルセロナに戻るため飛行機に乗る。バルセロナの街角で、当時のルームメートだったジュレスやヒロシとともに過ごした90年代の生活を思い出す。果たして彼女の決断は正しかったのかとの疑問が、今になって彼女をさいなむ。その過去から30年以上逃げてきたが、彼女の青春の何かが残っているだろうか?
不動産会社で熱心に働く女性が空き家になっている物件の内覧準備をしていると、まばたきをしない7歳の少年と出会う。ガラス瓶の中の虫のように昔からこの場所に捕らわれている少年は、女性に何かを期待しているがそれを言葉にすることさえできず、ふたりの間に不気味で完全なる相互依存関係を作り上げてしまう。
マテオ・サレルノはサーカス芸人一族の最後のひとり。サーカスの舞台、そして父親から離れることを決意したあと、代々続いてきたサーカス一家の裏に隠された物語を本にまとめて借金を清算しようとする。
第二次世界大戦を実際に経験した100人の語りを通して、戦争の全体像をまとめた一冊。大衆には知られていない人がほとんどだが、証拠で裏付けられた、いずも実際の話を読むことで、読者は人類が起こしたこの大きな争いについて知り、理解することができるだろう。
早い段階で学業を放棄した青少年の教育は、彼らの学習能力のなさや社会的無能さを強調するような意見をあれこれと生みがちだ。だが、それは実際にはもっと複雑な現実を覆い隠してしまう性急な判断と言える。本書の中で著者は、排除されるおそれのある若者が、学習能力やコミュニティでの生活能力の点で劣っているわけではないという事実から出発し、環境が人間の統合的な発達に与える影響に着目していく。
自動運転自動車、携帯電話、しゃべるおもちゃ、ロボット掃除機……。知的機械はちまたに溢れています。機械はどれだけの人類を所有していて、人間はどれだけの機械を所有しているのでしょう? この本を読めば、知的機械の働き、それらがわたしたちの生活に与える影響や倫理的脅威を学ぶことができます。知的機械がどのようにして作動するのか、どのように学習するのか、多様でいながら使用者を選ばないためにはどのようなプログラミングが必要か、ということがわかります。イラストは鮮やかで、ユーモアたっぷりの本です。