マテオ・サレルノはサーカス芸人一族の最後のひとり。サーカスの舞台、そして父親から離れることを決意したあと、代々続いてきたサーカス一家の裏に隠された物語を本にまとめて借金を清算しようとする。自分自身の思い出、芸人たちへのインタビュー、そして長年かけて集めてきたあらゆる資料(手紙、パンフレット、映像、記念品、スピーチ、写真…)から、一座の生活の様々な瞬間、テントの中と外で絡み合う様々な物語がひとつのモザイク模様のように浮かび上がり、この群像小説の真の主役、老舗サーカス団サレルノの衰退と崩壊が様々な声で語られる。マテオは公演のために読者に最前列の席を用意してくれた。テンポのよい自然な散文にひたっているうちに、このサーカス一族の非常に人間らしい面に引き込まれていく。ショーを楽しんでもらいたい。