Drácena Ediciones
ドラセナ‧エディシオネス
出版社
2012年の設立以来、未 の作品や時とともに流通しなくなった本を30点以上出版してきた。出版の条件は、 くシンプルなものが$たつだけ。スペイン語で考えられたオリジナル作品である とと、優れた文学的価値を持っている とだ。
「毎日の我らの酒よ、昼も夜も我らを見放すことなかれ」毎朝サンドゥンガはこう唱え、その日の最初の酒を1杯飲むと、気の向くまま過ごすために家を出る。欲望も目的も持たず、流れ任せの人生だが、それ自体がこの面白い小説の筋になっている。あるひとりのメキシコ先住民があるがままに世に出るが、様々な出来事に巻き込まれる。素晴らしくもない日常のせいではないが、大抵の場合不幸な出来事だ。そしてその様子は常に酩酊状態の彼の視点で語られる。つまりこの小説は同じく酔っ払いが主人公でメキシコを舞台に展開するマルカム・ラウリーの『火山の下』やスペインの小説家エクトル・バスケス=アスピリの『Fauna(ファウナ)』と類を成す。悲壮感や哄笑を誘うだけでなく、驚くほど生き生きとした読書体験をもたらす小説。
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文学
サンドゥンガ
Sandunga
マテオ‧ミゲル
Mateo Miguel
Drácena Ediciones
マテオ・サレルノはサーカス芸人一族の最後のひとり。サーカスの舞台、そして父親から離れることを決意したあと、代々続いてきたサーカス一家の裏に隠された物語を本にまとめて借金を清算しようとする。自分自身の思い出、芸人たちへのインタビュー、そして長年かけて集めてきたあらゆる資料(手紙、パンフレット、映像、記念品、スピーチ、写真…)から、一座の生活の様々な瞬間、テントの中と外で絡み合う様々な物語がひとつのモザイク模様のように浮かび上がり、この群像小説の真の主役、老舗サーカス団サレルノの衰退と崩壊が様々な声で語られる。マテオは公演のために読者に最前列の席を用意してくれた。テンポのよい自然な散文にひたっているうちに、このサーカス一族の非常に人間らしい面に引き込まれていく。ショーを楽しんでもらいたい。
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文学
空中ブランコ乗りのめまい
El vértigo del trapecista
フアン‧ラモン‧アスアル=ロメロ
Juan Ramón Azuar Romero
Drácena Ediciones
主人公ディエゴがこれまでの自分とは別の存在になるためにやってきた町ダブリン。だが、新たな友人と憂鬱さのせいで酒に溺れ、一生住み続けることができないことも分かっている。ディエゴの心の中に潜むいまだ実行していないある種の犯罪は、彼を過去の面々の元に押し戻そうとしていた。すなわち、自らの運命を受け入れ、人目につかずに逃げおおせるバルセロナへと。その街で彼は、恐怖に打ち勝つために本能的にさまよい続けるが、夜、バル、そして彼と同じように漂流の旅をする一匹狼の群れの中にいても、孤独が消えることはない。そして、馴染みの場所、昔の酒場、過去を物語ることになるかつての恋に戻り、たとえ最も内面的な真実と向かい合うことになったとしても、彼の逃避は終わりを見ることはないだろう。
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文学
夜のバーの孤独
Solos en los bares de noche
Drácena Ediciones
メキシコ市に住み、ビリヤード用品の販売で生計を立てる野心家は、突然、中学で学ぶ彼の恋人が誘拐されたことを知る。少女を救出しようとの思いに苛まれ、メキシコの人身売買、女性の搾取の巣窟で彼女の行方を捜す。このようにして捜索が始まる本書『Solo que Marla no volverá(ただマルラは帰らないだけ)』はベラ・ブラウンの2作目で、最良の推理小説の要素がすべて盛り込まれている。著者はメキシコで最も時代を感じさせる若手小説家のひとり。
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文学
ただマルラは帰らないだけ
Solo que Marla no volverá
Drácena Ediciones
2011年春に政党の閉鎖性に対抗して起こったスペインの若者たちの抗議デモ、15-Mから10年を記念して出版された。物語はデモの1週間前に始まる。しばらく世間から離れて入院し、退院したばかりの主人公のモイセス・マルメロは、勤務していた会社はどうなっているか確かめようと出かけ、最後にデモの参加者が溢れるプエルタ・デル・ソル広場にたどりつく。章を追うごとに、当時のマドリード、そしてスペインの姿の忠実でユーモラスな描写へと変貌していく本書。そこでは政治腐敗となりすましとプロの騙りが当たり前であり、そのことが、痛切さと風俗描写とからかいが合わさった、この愉快な小説に読者をひきつける端緒となっている。
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文学
無脊椎動物
Los invertebrados
Drácena Ediciones
辛口でむさ苦しいパロディー、下品で時に不敬な言葉遣い、全てにおいて腹立たしい、イギリスの田舎町での出来事。そのどれを取っても、本書『Las bondades de un asesino(ある殺人犯の親切心)』はガイ・リッチーや ダニー・ボイルの素晴らしいコメディ映画を彷彿させる。しかしこの小説の結末には物悲しいパラドックスが隠されていて、それはスペインの良質のユーモアのなかにはなかなか根付かない流れだと言えば不興を買うかもしれない。だからこそ、本書は往年の雑誌「ラ・コドルニス」 世代の人々のユーモアに対する感覚を、もっとどぎつく雑然とした現在のものに置き換えるための一種の賭けなのだ。
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