8月終わりのある午後。16歳になったばかりのカタリーナは、ある不愉快な出来事が起きて郊外の団地にある親友の家を飛び出す。幹線道路までやってきた彼女は、家に帰るにはヒッチハイクをするしかないと決意。同年代の若者と同じように自分だって知らない人の車に乗るのは怖い。でも、両親が決めた厳しい門限を守らなかったらどうなるかと思うと、大したことはない。90年代初頭を舞台に描く、自身の体との複雑な関係、そして「女だから悪い」と思わせようとする世界に対する恨みを抱えた少女の物語。
アイサべスは、人間世界を奴隷状態から解放するための「選ばれし者」である。目的を果たすためにはある貴重な宝石を見つけて、自分の首にかけている「解放の鍵」にはめこまなければならない。それはひとりではできない。神託『血と引き換えの命、意志の結合により王国の扉が永久に開かれる』をやりとげるには、ケンタウロスの命と自分の命をつなぎ合わせなければならないのだ。彼女は虚栄心を克服して、エリセオに近づけるのだろうか? 彼は獣性を放棄してアイサべスに命を与えられるのだろうか?
バベルの塔の建設者のうちのひとりの息子パリム4世は、バビロニアの図書館の火事で生き残ったとき、自分は不死身だと意識する。それからはさすらいの人生を送り、ホメロスのギリシャ、フェリペ3世のスペイン、ロシア帝国、1920年代のパリ、幻想的で文化主義の作家に染まったブエノスアイレスへと赴く。
姿をかくし、見ることはできないが、そいつはいつもそこにいて、じっと君を監視し、きみのすべての言動をスパイしている。吸血鬼ではないが、君から栄養をとり、君に依存し、身をひそめて君を利用する。そしてその間にも、休むことなくどんどん成長する。寄生虫のように。寄生虫作戦とは、他の種の体内に潜んで、殺しはせずに栄養をすいとること。動物にも植物にも多種の寄生生物が存在するが、こいつは君が一度も耳にしたことがないやつだ。最も恐ろしい悪夢の中ですら想像できないような寄生虫。
『La experiencia U-feeling(ユー・フィーリング体験)』シリーズ(
アウグスト・サラスとカルメン・レベルテが、ある有名小学校での連続児童殺害事件を解決してから2年たった。現在、ふたりは警察を辞して、探偵事務所で成功をおさめている。ふたりの生活はおおむね順調だった。グラナダ大学の教員からおかしな依頼を受けるまでは。依頼とは、心理学部の有名教授の暗殺事件の解明だ。サラスとレベルテはグラナダに向かい、一見忘れられているかに見えた奇妙な事件の捜査のため、錯綜し、どこか不透明な大学の世界に飛び込んでいく。
数年にわたる家族の物語。割れたり、どこかに行ってしまったり、他の目的に使われたりしている食器をあらためて数えると、生きてきたあいだにあった喪失、発見、変化が見えてくる。著者は、2012年にバルコ・デ・バポール賞、2011年にインベンシオネス児童文学賞を受賞している。
ギリェはとても楽しい男の子。だけどそれは家のなかだけで、なじんだ環境の外に出ると臆病で内向的になる。楽しい誕生パーティも、仲良しが行けないとギリェにとっては悪夢になる。そんなときトロルのトロックが現れ、間違いを見定めてよく考えさせてくれる。つまり将来同じことに陥らないないよう導いてくれるのだ。この物語のテーマは自尊心と臆病さだ。社会的な行事は子どもの姿勢次第で、楽しくもなるし退屈にもなる。
生き埋めにされた人間、謎の失踪をとげた若者、期待どおりの結果を得られない偽のスピリチュアルセッション、悪魔的存在に支配され、ふたりの奇妙な人物に封鎖されているアマゾン奥地の忘れられた村……時は来た。恐れていた時代が目前にせまり、その前兆として、地球上のあらゆるところで尋常でない出来事が起こる。黒い境界線とは何か? 身も凍るそのこたえは、知らないほうが身のためかもしれない。
ジャーン! アグス・ピアノラを紹介します。そそっかしくてちょっと図々しい男の子だけど、いいやつだよ。部屋を片づけなきゃならないのはわかってるけど、いつもママにいわれるまで手をつけない。だって、なかなか始めるチャンスがないんだ。散らかった部屋ではボールやらゲームやら作文やら、いろんなものがなくなるけど、代わりに別のものが見つかることもある……。