スパイダーキャットは特別な猫だ。とびぬけた力を持っているが、本人はまだそのことを知らない。これは私たちにもよくあることだ。みんな特別で、人とは違っている、かけがえのない存在で、少なくとも何かひとつはとびぬけた力を持っている。君のはどんな力?
1926年のバルセロナ。有名な高級服メーカー「サンタ・エウラリア」は、初の自社コレクションを、大きなファッションショーで発表し売り出そうとしている。スペインで開催される初めての大規模ファッションショーのひとつだった。イベントは大成功する。変化は始まっていた。19世紀半ばに作られた昔ながらの生地問屋がすっかり、オートクチュールの世界に入ろうとしている。内部では、様々な登場人物(オーナー、デザイナー、店員等)の生きざまが交錯し、時代の進歩のリズムに合わせてうごめく。
ヒンドゥスタンの美しい皇后ムムターズ・マハルが、永遠の眠りにつく直前、彼女の夫は今までに作られたどんなモニュメントよりも美しい記念碑で彼女の想い出を奉ることを約束した。Taj (タージ)は、その素晴らしい記念碑と、その建設に携わった建築家、書家、職人、象の背中に乗り巨大な大理石のブロックを運んだ労働者など、2万人の英雄たちの物語。この壮大な物語は、並外れた画才を持った砂漠の少年バルの目を通して描かれる。
1930年代のマドリード。プエルタ・デル・ソル近くの高級ティールームで働く女性たちは、制服に身を包み新たな1日の仕事をスタートする。アントニアは一番のベテランだが、彼女はだれにも能力を認められたことがない。小さいマルタは貧窮によって大胆で断固とした性格になる。30歳代で信心ぶったパカは、余暇の時間を修道院で過ごす。オーナーの名づけ娘ラウリタは、「モダンガール」で通っている。3ペセタの日給ではとても暮らしていけないが、みんな黙っている。さもないと、どうなることか。
昨晩のパーティで実際に何が起こったのか? 犠牲者が出たのか? 開けないでくれと言って上司がこっそりと私たちに渡した箱には何が入っているのか? 中で何かが動いている。
イディルの塔の交霊術師たちは、物語に出てくる交霊術師とは違っている。彼らは生娘を生贄にしたり死をもてあそんだりはせず、本とまじないに埋もれて勉強するのみだ。ずっとそこで暮らしてきたクラレンスはその穏やかさが気にいっている。だが、外の世界を知るアサンは飽き飽きし始めていた。ちょうどその時、人の命を奪う猛毒がマラビリアで売られるようになり、平和の日々が終わりを告げる。誰かが至急解毒剤を見つけなければならない。その代償が自分自身の命であったとしても。
蝶のやさしいキスを知ってる? ワニの力強いキスは? 牛たちはどうやってキスをするの? プレゼントのキス、びっくりさせるためのキス、友情のキス……。空想の旅のあいだに、キス一家のおちびさん、シトはあらゆる種類のキスに出会う。あなたたちも一緒に旅してみない?
生まれながらのフィクションの才能とスキル、ユーモア感覚を持つアンパル・モリネールのような作家だけが、このような短編集を書くことができるだろう。冒頭から終わりまで、読者を感動させ楽しませる文学の宝石だ。今の時代の病弊を独特のユニークな方法で浮き彫りにする。洞察力と皮肉に満ちたこれらの物語は、私たちが普段からどんなにばかばかしい問題にさらされているかを見せ、怖がらずに生きることや、愛情の対象を傷つけずに愛する方法も教える。
遺体は発見されなかったが、CW0764便の乗客は、アマゾンで起きた飛行機事故で全員死亡したとされた。半年後、事故の犠牲者である少女メラニーの声で「助けて」というメッセージが、父ハビエルが働くラジオ番組に飛びこんでくる。同じ時間、民間航空会社のパイロット、エリックは、恋人ナタリーの命を奪った飛行機についての機密情報を知る。真実を知ろうと、必死の思いで急遽ペルーに向かったふたりの運命が、そこで交錯する。カウントダウンが開始される。隠された何かがある。誰も決して暴露したがらない何かが。
ノベイ家の家族(お母さん、お父さん、息子、娘、おじさん、いとこ……等々)はみんな、目があまりよくない、というよりひどい近眼だ。だから1匹の猫が家にやって来たとき、たいへんなことに。わざとではないが、猫の上にすわるわ、えさをやりすぎてしまうわ、順々にみんながへまをする。さんざんだが、見ていると笑いが止まらない。そして最後はみんなハッピーエンドになる……特にまくらという名の猫にとっては。 この本のとりこになるのはなぜ?1:イラストに大笑いしてしまうから。