シェニアは、医学部に入りたくて、よい成績をとろうと頑張っているのだが、最近成績がふるわない。恋をしたからだ。しかも、相手はそこらにいる男子ではなく幽霊だ。一度だけインターネットの中で出会い、本好き同士、意気投合したのだった。彼女の気持ちは決まっているが、バーチャルな恋人が先の約束はできないという言うため、彼女は不意打ちをかけて驚かせてやろうと、手に入るわずかなデータをもとにして調査を開始する。そして、わかったのは、写真も名前も何もかもが嘘だということだった。
若く有能な美人ソムリエ。容姿端麗で野心的だが、どこか暗い過去を持つシェフ。控えめな天才パティシエ。教養あり洗練された給仕長。バルセロナのように活気のある現代的な都市。流行の発信地で、世界中の著名人を顧客に持つミシュラン三ツ星のレストランを舞台に、めくるめく物語が展開する。サスペンスと陰謀、愛と憎しみ、秘密、そして調査に乗り出すジャーナリスト。すべてがあなたを、1ページ目からとらえて離さない。
「シモンおじいちゃんとわたしは毎日、キスかくしごっこをして遊ぶ。病院に行かなきゃならなかったり、いないときもあるけれど、おじいちゃんとわたしは遊びつづける……」アーティスティックな美しい絵本。やさしい言葉で、孫娘と祖父の交流が語られる。キスかくしごっこを通して、読者はおじいちゃんが認知症を患っていることがわかる。そんなある日、おじいちゃんは息の仕方を忘れてしまったのでもう戻ってこないと、わたしは告げられる。けれども、母親とキスのおかげで、わたしはなんとか悲しみをのりこえていく。
わたしのひいおばあちゃんは、すごく年をとっていて、だから、何でも知っている。とてもおもしろくて楽しい。ときどき悲しそうになるけれど、たいていはほがらかだ。ひいおばあちゃんは、わたしといるのが大好きで、わたしもひいおばあちゃんと一緒にいるのが大好き。よかったら、紹介してあげるよ。会ってみたくない?……呼んであげる。家族で読むための家族の本のシリーズEn familia(家族で)の1冊。ページの中には、モザイク、布、写真、スポンジ、段ボール、ファスナー、愛撫や愛情がつまっている。
ガリシア生まれの若い女性教師は夫と別れたばかり。気分を一新するためカナリア諸島でバカンスを過ごすことにする。『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』を読みふけり、魅力的で裕福なロシア人の実業家と出会って情熱的なロマンスが芽生えると、彼女は自分の空想の主人公になる。こういうことは小説の中でしか起きないと信じている全ての女性読者に捧げる願望と情熱の物語。待ち望んでいたカナリア諸島でのバカンスに向け飛行機に搭乗するとき、クリスティーナは壊れてしまった結婚生活を忘れることしか考えていなかった。
9歳のミアが、大人になるという特別な冒険について語る。思春期に女の子の体はどう変化するの? 胸は? ブラジャーは? 脱毛って? 生理って? タンポンって? 主治医の小児科の先生がミアの疑問にすべて答えてくれる。大人になるのはすばらしい冒険で、それはよく知っていればいるほどいい! 内分泌学専門の小児科医が、思春期の変化について書いた本。イラストはクリスティーナ・ロサントス。
作者自身が患う多重人格障害を描いた物語。自分自身や家族のエピソードと、フィクションの要素や夢想を混ぜ合わせてしたてられた小説だが、フィクションと現実は、多重人格そのもの同様、どちらがどちらと見極めがたく重なりあっている。20世紀の第二共和政からモビーダ(民政移行直後の時代)にかけてのスペインを見渡しながら、すぐれた語り口で限りなく誠実に、多重人格障害の苦しみを一人称で、だが希望のメッセージをこめて描く。
ミレナの美しさが仇だった。若い頃から性の奴隷となってきた彼女は、パトロンである通信業界の大物が、彼女との情事の最中に心臓発作で死んだとき、逃亡を試みる。不安な逃亡の最中に、アスレスと名乗る正義漢の3人組に出会う。ジャーナリストのトマス・アリスメンディ、政治家のアメリア・ナバロ、保安の専門家ハイメ・レムスである。彼らは彼女を解放しようするが、ミレナは黒い手帳に書き込まれた謎をかかえて怯えている。その謎は、救いと同時に復讐を示唆しているからだ。
新しい世界に旅に出るため、あらゆる種類のつがいの動物を求むというあの広告を、ぼくみたいにミーアキャットが読まなければよかったのに。そしたら、大洪水が世界を飲みこんでいるとき、あのいまいましいはこ舟に乗らなかっただろうし、あの大混乱の中で、動物が1ぴき、また1ぴきと、跡形もなく消えていくのを見ることもなかっただろうに。
以前はのどかだった場所にミストラル社が設置を始めた風力発電の近代的な風車。その翼で首を吊った女性の死体が発見される。それは同社のエンジニア、エステルだった。殺人それとも自殺? リカルド・クピード刑事は依頼を受けて捜査に乗り出すが、たどりついたのは夢にも思わない場所だった。風力発電所は争いの種だった。多くの住民はここぞとばかり土地を売却したが、環境保護に熱心な夫婦は売却を拒否するばかりか、この事業を台無しにしてやると脅す。発電所では次々と嫌がらせや襲撃が起こる。