日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。
今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました。それぞれのお名前をクリックすると書籍紹介ビデオをご覧いただけます。:
野谷文昭(選考委員長:東京大学名誉教授・名古屋外国語大学名誉教授)(以下あいうえお順/敬称略) 越前敏弥 (文芸翻訳者)/榎本麻衣子(フォルトゥーナ、代表取締役社長)/廣瀬覚 (水声社、編集者)/山口侑紀 (花伝社、編集者)
各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略、最終選考で選ばれなかった書籍のレポート作成者も含みます)
井原美穂/上野貴彦/宇野和美/國貞雅俊/笠原未来歩/佐藤晶子/嶋田真美/白川貴子/轟 志津香/長神末央子/中山 映/平野麻紗/宮崎真紀/村岡直子/村田名津子/矢野真弓/横田佐知子/吉田 恵
ご存じだろうか。女児は6歳にして男児よりも頭が悪いと感じ、大学では男子学生は女子学生の能力を過小評価していることを。これらのすべては社会通念にとらわれた結果に他ならない。遊びや文化的環境が女の子、男の子それぞれの行動、表現、かかわり方に「〇〇すべし」という影響を与えている。子どもは性別に縛られることなく自由に感じ、表現し、行動したほうが良いのではないか。
寝る前の読み聞かせは親子のより良い絆を作る。色とりどりの子猫たちと共に過ごしながら子供を眠りに誘うための本。
ティーとカメレオンはきょうだい。きょうだいってことは、すごく運がいいってこと。だってふたりの世界は光に溢れ、はちみつのように甘くて、日々、なにか冒険が起こる。大きな紅茶の雲に乗って旅をしたり、釣りを楽しんだり、ドレミの湖でコンサートがあったり。日本人イラストレーターの鹿島孝一郎が描いた世界に入り込んだ、チリ人作家マリア・ホセ・フェラーダが主人公たちの冒険を物語る。ここでは雲や木々、風景を作り出すもの全てがそれぞれ人格を持っている。
本作は、ベルベル文化のユニークな世界から生まれた本。著者クリスティアン・クルサットは、驚くほどよどみなく、伝説、エッセイ、伝記、旅行記を組み合わせている。読者は、(一般的および地理的な)境界、多種多様な境界についての文章を前にすることになる。その文章の中で論説より優先されているのは、否定しがたい信念、文学は世界を映す真の鏡という信念だ。サハラから地中海にかけての北アフリカに住むベルベル族は、神秘の民族で、その起源はわからないことが多い。
ペドロ・アルモドバルは自身の作品の大半をマドリードで撮影してきた。いや、マドリードの中にあるたくさんのマドリードで、と言ったほうがいいだろう。彼自身こう語っている。「この大都会で僕はいつも、それぞれの作品にぴったりな景色と、そぐわない人々を見出してきた」と。アルモドバルの映画とマドリードの関係は、ほぼ彼の自伝となっている。いずれの作品においても、彼は登場人物を巻き込んでいる。つまり、アルモドバル自身が過ごした通りや広場、地区、カフェ、建物、レストラン、バルなどが原型にあるのだ。