スパイダーキャットは特別な猫だ。とびぬけた力を持っているが、本人はまだそのことを知らない。これは私たちにもよくあることだ。みんな特別で、人とは違っている、かけがえのない存在で、少なくとも何かひとつはとびぬけた力を持っている。君のはどんな力?
1926年のバルセロナ。有名な高級服メーカー「サンタ・エウラリア」は、初の自社コレクションを、大きなファッションショーで発表し売り出そうとしている。スペインで開催される初めての大規模ファッションショーのひとつだった。イベントは大成功する。変化は始まっていた。19世紀半ばに作られた昔ながらの生地問屋がすっかり、オートクチュールの世界に入ろうとしている。内部では、様々な登場人物(オーナー、デザイナー、店員等)の生きざまが交錯し、時代の進歩のリズムに合わせてうごめく。
昔むかし、はるかかなたのある王国に、ひとりの王子がいた。王子は、ある若い娘を窮地から救いだしてくれたとして、魔法使いにほうびをやった。だが、それはすべて真実ではなく、呪いだった。そこで、王子は栄光と復讐を夢見る。だが、魔法使いの魔法はいつも災いを招くとは限らない。娘は魔法のおかげで、彼女を苦しめていた過去……彼女があやめた男の記憶から逃れる。昔むかしあるところに……。 ブックトレーラー https://www.youtube.com/watch?v=1iHEbZGYF6I 。
本作は、ベルベル文化のユニークな世界から生まれた本。著者クリスティアン・クルサットは、驚くほどよどみなく、伝説、エッセイ、伝記、旅行記を組み合わせている。読者は、(一般的および地理的な)境界、多種多様な境界についての文章を前にすることになる。その文章の中で論説より優先されているのは、否定しがたい信念、文学は世界を映す真の鏡という信念だ。サハラから地中海にかけての北アフリカに住むベルベル族は、神秘の民族で、その起源はわからないことが多い。
カキが夜のあいだにカチカチと音をたてるのが耳にとまったことはある? 真珠が殻にぶつかるときにたてるカチカチという音だ。キツツキのコンコンだとか、コオロギのクリッ、クリッのように、そのカチカチという音は、エバにとって夜がふけていくことを意味している。ところがある日、カチカチカチのあとに、ポシャと音がした。
エレナとアルマンは出会ったその時から、自分たちを閉じ込めているものをすべて取り除こうと考えるようになった。それは人が今を生きる時にのみ感じ取ることのできる自発性と喜びを取り戻すための取り組みだ。そうして彼らは自分たちには権利があることに気付いていく。その権利とは、変わること、長年見てきたのとは違う見方で世界を眺めること、そして自分自身を愛することだ。言い換えれば、自由に生きられるようにすることである。
本作を構成する3つの短編は、私的でもあり普遍的でもある心象風景を描いている。それが本著の最大の長所。この短編3作は、モラルの破綻というよりむしろ、私たちが生きる21世紀特有のバイタリティの破綻について描く。今の時代、仕事の成功によって私たちの心は小さな達成感に満たされるが、主人公たちは不安で、しばしば出口のない虚無の中に放り出される。
1930年代のマドリード。プエルタ・デル・ソル近くの高級ティールームで働く女性たちは、制服に身を包み新たな1日の仕事をスタートする。アントニアは一番のベテランだが、彼女はだれにも能力を認められたことがない。小さいマルタは貧窮によって大胆で断固とした性格になる。30歳代で信心ぶったパカは、余暇の時間を修道院で過ごす。オーナーの名づけ娘ラウリタは、「モダンガール」で通っている。3ペセタの日給ではとても暮らしていけないが、みんな黙っている。さもないと、どうなることか。
昨晩のパーティで実際に何が起こったのか? 犠牲者が出たのか? 開けないでくれと言って上司がこっそりと私たちに渡した箱には何が入っているのか? 中で何かが動いている。
1212年、主イエス・キリストの年。激動のヨーロッパ。寄せ集められた集団「少年十字軍」がフランス王国を進んでいく。熱狂的で歓びに溢れる雰囲気の中、それを率いるのは羊飼いの少年、クロイエのエティエンヌ。彼らの目的はエルサレム。武器を全く使わず、信仰の力だけで、エルサレムを解放するのだ。一方、ムワッヒド朝カリフ・ナースィルは、戦々恐々の混乱にあるローマに進軍するためセビリアで強大な軍隊を準備する。カリフは、自軍の馬たちに必ずやバチカンの泉で水を飲ませると誓う。