エレナとアルマンは出会ったその時から、自分たちを閉じ込めているものをすべて取り除こうと考えるようになった。それは人が今を生きる時にのみ感じ取ることのできる自発性と喜びを取り戻すための取り組みだ。そうして彼らは自分たちには権利があることに気付いていく。その権利とは、変わること、長年見てきたのとは違う見方で世界を眺めること、そして自分自身を愛することだ。言い換えれば、自由に生きられるようにすることである。『Tàndem(タンデム)』は、素晴らしい旅を約束してくれたりとか、「愛してる」みたいな言葉を聞いたりした時に感じる幸せではなく、誰かと一緒にペダルを漕いで、より深い、より永続的な幸福感を得るための道のりを楽しむといった心地よさを与えてくれる物語だ。本書は、自らの存在を見直そうとする人間の力を探求し、単調な生活を捨て、人生が用意してくれているものに身を任せてみようと読者に語りかけてくる。