日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。
今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました:
野谷文昭(選考委員長:名古屋外国語大学教授・東京大学名誉教授) (以下あいうえお順/敬称略) 酒井七海(元書店員)/ 塩田知子(フリーランス編集者)/ 吉田彩子(清泉女子大学名誉教授・スペイン王立コルドバ・アカデミー会員)/ 米田雅朗(新宿区立大久保図書館館長)
各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略)
青砥直子 / 今木照美 / 宇野和美 / 小原京子 / 笠原 未来歩 / 佐藤晶子 / 嶋田真美 / 高際裕哉 / 轟 志津香 / 長神末央子 / 平野麻紗 / 宮崎真紀 / 村田名津子 / 横田佐知子/ 吉田 恵 / Amadeu Branera
1530年、ひとりの若者が偉大な編集者アルド・マヌツィオの未亡人に近づき、亡夫の生涯に関する文章を見せる。真実の物語が、想像していた武勲とかけ離れていることは知られていない。マヌツィオはギリシャ文学の至宝の最高の版を作ろうと1489年にヴェネツィアに到着するが、手写本を盗まれたり、義父で印刷屋のトレサニに課金を要求されたり、若き妻マリアが入れ込んでいるエピクロス主義の流布に対して権力者の検閲が入ったり、想定外の困難に見舞われる。
当局がカレンダーから1日を削除すると決定した。選ばれたのは10月6日、エドゥの生まれた日だ。突然誕生日がなくなったエドゥは、いつまでも10歳のまま。もちろん、そんなのおもしろくない。こういうことが起こるのは初めてじゃない(どうして2月は28日しかないんだ?)といっても、なんのなぐさめにもならない。そこで、エドゥは誕生日を取り戻すために闘おうと決心し、「禁じられた物の店」にかけつけた。途方もないことに挑戦するには、途方もない解決策が必要だ。そこでエドゥは「時間吸引機」を手に入れた。
1960年代のキューバ。革命が勝利した国で、一見何の共通点もないふたりの若者が友達になる。ペドロ・フアンは体育会系で筋骨たくましい。ファビアンはひ弱で臆病で近眼、ピアノが弾けてホモセクシュアル、1920年代にスペインから移住してきた両親を持つ。ふたりの意外な友情は続き、幾星霜を経て彼らの人生は再び交差する。ペドロ・フアンはあらゆるタイプの女性とセックスを楽しむ快楽主義者になっていた。
マルタは10年間ずっと隠してきた秘密をパートナーに打ち明けた。それは、勤めていた高齢者施設で知り合った老人、ダニエル・ファウラ・オイゴンの奇妙で心惹かれる人生の話だ。ダニエルが亡くなった時、マルタは彼の日記と手紙、そして謎の女性サヤに捧げたソナタの楽譜を見つけた。日記はダニエルが少年時代から晩年まで、自分の人生を綴ったものだった。
イラストレーション界のホープ、ベア・エンリケスによるインスピレーションに満ちた驚きの作品。主人公の猫は大胆で勇敢、思慮深いが、ときどきしっちゃかめっちゃかになり、なんといっても夢見がちだ。どこに行っても空想し、必要となるといつでも空想が働く。その空想力のおかげで、主人公は無限の世界を作り出すことになるが、現実は猫の考えるフィクションにまさっていた。この本のとりこになるのはなぜ? 1.いつも夢見ることの大切さをおしえてくれるから。