2001年9月10日、ブランドン・モイはニューヨークで古い友達と再会し、若かりし頃一緒に追った夢を全部思い出した。決して叶えられることのなかった夢。モイには愛する妻と、模範的な息子がいる。マンハッタンに誰もが羨むマンションを持ち、仕事でも成功している。しかし、やりたかったことを思い出したとき、人生に失敗したような感情にとらわれる。再会の翌日、ツイン・タワーの職場に向かう途中、アルカイダの飛行機がツイン・タワーに突っ込む。モイは、運命が彼に第2のチャンスを与えたと思った。
本作は、端的にいえば証言集だ。4人の証言者、ウェイター、警察官、新兵、消防士が、1973年9月11日のあの朝をどのように生き、何をしたのかを語る。これに先立つ6月にクーデター未遂があったが、この日、チリ軍部はサルバドール・アジェンデ大統領率いる人民連合政府の政権を、容赦なき暴力ではく奪。本書では、読者には具体的に示されることのない、質問に回答する形式で4つの話が、あのクーデターと時と場所を同じくし、大統領官邸モネダ宮殿を中心に展開する。
エウセビオは、友人のギリェルモから、謎の女性とSMセックスの関係を持っていると打ち明けられる。その数日後、ギリェルモは事故死する。エウセビオはギリェルモの死を告げるためその女を探そうと決心する。そして探し当てた時、彼女に夢中になる。自分が秘密を知っていることがばれたら彼女が離れていくだろうと思うと、エウセビオは彼女に何も言えない。ふたりは少しずつお互いを好きになっていく。
マサトラン(メキシコ)の海辺。イサベルがハンモックで目をさますと、髪がくしゃくしゃの野生の少女が彼女を見つめている。イサベルの愛情と辛抱強い教育のおかげで、その少女カレン・ニエトは話すことや読み書きを覚え、大学では単位をだいぶ落としながらも動物学を専攻し、世界有数のマグロ漁の会社社長となる。が、相当の変わりものである。知的な面はかんばしくないが、そのほかでは天賦の才を発揮し、海洋生物の保護に乗りだす。海にあってはマグロと一緒に潜り、陸にあっては人々に笑いと戸惑いを振りまく。
ローマで惨憺たる一時期を過ごしたアレックス・ベルナルは明け方バルセロナ空港に到着し、手荷物受取所で自分のスーツケースが出てくるのを辛抱強く待つ。やっと自分の荷物が出て来たときには同じフライトの乗客はとっくに自分たちの鞄を手に姿を消していた。しかし、がらんとした巨大ターミナルのベルトの上を1個のスーツケースが回り続けていた。金に困っていたアレックスは出来心からそのスーツケースを持ち帰る。そして、思ってもみなかった恋愛と苦痛の物語の主役となる。
犬が子どもに噛みつくのを予防するために書かれた本。犬との間でトラブルが起きると、子どもは後あとまで大きな影響をひきずり、犬への信頼感をすっかり失ってしまうこともある(飼わなくなったり、さらに大きな結果にもつながりうる)。この本は、幼い子どもがペットの犬とともに暮らすために守るべき基本を教えてくれる。家庭で犬を大切にし、安全に楽しく犬と接する方法を、子どもたちは楽しみつつしっかりと学べる。
1980年サン・フアン祭の前夜。コスタ・ブラバにあるカラベラ町の住民たちは村の夏季映画館のオープニングに来るはずの伝説のエバ・ガードナーを待っている。だが、みなが女優を待つなか、風変わりなブライトマン家の末息子フストだけは違っていた。この魔法の夜に、彼は自分の願い事をする代わりに、自分の家族の運命を変えるため、できる限りのことをするつもりだった。本書は幸せ探しの物語だ。
老女ルチャは、呆然と見つめる孫娘の前で、夫に殺されようとしている。数十年積み重なった恨みは、元を正せば1921年1月2日に遡る。若きルチャは、サルボラ島で蒸気船サンタイサベル号の遭難に遭遇した。男たちが新年を祝っているあいだに、女性たちは海に飛び込み、遭難者たちの救出に向かった。彼女たちはヒロインとみなされたが、貪欲さや略奪といった、英雄的ではない行為の噂も囁かれた。その夜、ルチャはウェディングドレスで海岸にかけつけた。
この物語の主人公は小さなサックス。楽器の習得は苦労がつきものだが、小さなサックスがお話のなかで、音楽のこと、習い始めの音楽の基礎を語る。他者とのコミュニケーションにおいて一番大切なのは、コミュニケーションが円滑で有意義なものになるような参考例や接点を探すことだとこの物語は伝えている。つまり、音楽を学ぶことを通して、人間関係や仲間意識、協力、友情、チームワークの世界を垣間見られる心あたたまるお話。
「夢を失ったら、あなたは悪夢の奴隷になる。だから、この世界には必要なんだ……夢見ることを恐れない人が」。両親がなぜかいなくなり、レベッカはごく幼い頃にしか会ったことのない祖父、バルバティン先生のところで暮らさなくてはならなくなった。風変わりな家の冷ややかでよそよそしい祖父のもとで途方に暮れていたレベッカは、やがて両親が消えたのは偶然ではなかったこと、自分もまた危険にさらされていることを知る。