日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました(あいうえお順/敬称略)
金関ふき子(編集者) / 兼森理恵(丸善・丸の内本店)/ 豊崎由美(ライター、書評家) / 野谷文昭(東京大学名誉教授・スペイン語文学者) / マヌエル・アスアヘ=アラモ(イングリッシュエージェンシージャパン)
各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略)。青砥直子 / 井原美穂 / 宇野和美 / 潤田順一 / 小原京子 / 柏倉恵 / 金子奈美 / 嶋田真美 / 高際裕哉 / 高部良 / 棚瀬あずさ / 長神未央子 / 宮崎真紀 / モンセ・マリ / 安田晶 / 矢野真弓 / 横田佐知子 / ルベン・バレナ・クレスポ
1937年5月、ゲルニカの爆撃後、何千というバスク人の子どもたちが戦争の残虐さを逃れ、亡命地に向かってサントゥルセの港から出発した。その中のひとり、8歳の少女カルメンは、ベルギーに住む、ロルカの翻訳家でもある作家の家に身を寄せることになった。カルメンは祖国から引き離され、その作家の家族のもとで育つ。第二次世界大戦が終結した日、養父が亡くなり、フランコ体制下のスペインに戻ったカルメンは、生まれた家で新たな生活を始める。
深く魅力的な文体で、恋をした状態について考察する小説。ほぼだれもが恋愛を有益なもの、ときには救済とさえ考えるがゆえに、恋愛においては、高貴で無欲な振る舞いから、大いなる横暴や下劣さまで、ほとんどすべてのふるまいが正当に思えるものだ。
ペルガミーノは、スラブの伝説的王国アンの図書館司書ミコーラの息子。消えた呪いの本、うぬぼれの強い巫女たち、よこしまな神託、昔の生き物や、夜の力のような古の力の物語。ある夜、ペルガミーノは父が吸血鬼に脅されている場面に居合わせる。父は吸血鬼のせいで、話す・読む・書くという大事な力を奪われてしまう。ペルガミーノは父を救おうと、家に住む悪魔と魔法をかけられたヒツジとともに危険な旅にのりだす。しかし道は罠に満ち、最後に恐ろしい吸血鬼と対決することになる。
主人公ニックは、何もかもが騒々しく、くだらない見せ物にすぎないこの世界、この世の中にあきあきし、砂漠にひっこんで、物事の本当の意味をさぐろうと決心する。しかし、砂漠でさえ気が散るものにあふれていた。ありとあらゆる疑念と疲労と略奪の末に、ニックはようやく心の平穏を得たかに見えた。ところが、どこかに運ばれて、史上最も魅惑的な見せ物、近寄りがたいサバの女王の一行の誘惑にさらされる。