主人公ニックは、何もかもが騒々しく、くだらない見せ物にすぎないこの世界、この世の中にあきあきし、砂漠にひっこんで、物事の本当の意味をさぐろうと決心する。しかし、砂漠でさえ気が散るものにあふれていた。ありとあらゆる疑念と疲労と略奪の末に、ニックはようやく心の平穏を得たかに見えた。ところが、どこかに運ばれて、史上最も魅惑的な見せ物、近寄りがたいサバの女王の一行の誘惑にさらされる。この最後の誘惑にうちかつことができたなら、この蜃気楼は消え失せ、世界の本質が輝きだすのだということを、ニックは直感的に悟る。