フィンランド北部の小さな村、イナリに住むテントウムシの家族の物語。ヘンリの家の窓に住んでいるテントウムシ一家は、雪と寒さでいつもかなしそう。みんなが幸せになれる方法をさがしていたヘンリは、ドアをノックした郵便屋さんを見て思いついた。そうだ、テントウムシ一家を南へ送ろう。こうしてヨーロッパの北のはじっこイナリから、南のはじっこスペインのグラサレマ山脈(アンダルシア、カディス県)までの旅が始まった。とうちゃくしてカディスの緑の山々を見たテントウムシたちは大喜び。だけどヘンリのことをわすれてはいないよ。だから特別のプレゼントといっしょに手紙を送った。技術が発達して人間的なものが少なくなったこの時代に、手紙の持つ魔法を思い出させてくれる物語。フィンランドからスペインへ、これほどすてきなものはない。