書道家は、あの谷や森の向こうには別の谷や森があることに思いいたり、人々にまた別の人々の話を語ることを夢見ていた。そしてある日、書き物机の前に座る代わりに、わずかな荷物を包んで深い森の中へと入っていった。書道家の旅はこんなふうに始まり、人々は自分たち以外の世界に気づく。詩情あふれる絵本には、旅の経験だけでなく、冒険したい、新しいことを発見したいという強い思い、自分自身の変化、他人を受け入れたり、受け入れられたりする能力など、旅へと私たちを駆り立てる気持ちも描かれる。そして日々、世界中で行われている旅の話だけでなく、言葉や画、想像力が私たちを誘うところについての話も語られる。