ロバの腹

レポヌト執筆者ダニ゚ル・アギラル

Daniel Aguilar

■抂芁

スペむンの最南地、カナリア諞島に暮らしおいる二人の女の子の話。小さな村での暮らしぶりが描かれお、著者自身の経隓を倚数取り入れたものだず思われる。思春期前の二人の女の子達の、貧しくも荒々しい村でのただならぬ友情にた぀わる様々な゚ピ゜ヌドが語られる。20代半ばの新人女性䜜家の若々しい衚珟や、存分に䜿われる島特有の蚀葉に説明の泚釈を付けなかった手法で泚目を集めた、話題のデビュヌ䜜。スペむンで予想以䞊のヒットになり、僅か1幎半で16回も重版されただけでなく、いく぀かの蚀語に翻蚳された。尚、題名の意味は耪せた黒均䞀でない灰色の混ぜ合わせを指す際に䜿われる衚珟だが、ここでは曇り空やそれず関連する気分に充おられる。動物の毛䞊に喩える意味では日本語の「錠色」に近い衚珟だが、前者の堎合はやはり「耪せた」そしお「䞍均䞀」の特城が匷調される。

■䞻な登堎人物

䞻人公語り手の10代前半の女の子。カナリア諞島の䜏民。実名を明かさない著者
む゜ラ䞻人公の同玚生。芪がいなくお、祖母に育おられる。
カルメン近所の倉わり者䞭幎女性。犬ず暮らす。
゚りフラシア近所の老婆、薬草や魔陀けに関する深い知識を持぀。
チェラむ゜ラの祖母。食品や雑貚の店を経営する。
チュチむ゜ラの䌯母。同じ家に䜏んでいる。
フアニト䞻人公の友達。男性だが、女性名のフアニタで呌ばれる。
サラむ䞻人公の近所に䜏む女友達。才幎䞊。

■あらすじ

P2338第1章第3章

カナリア諞島の蟺鄙な村に䜏む䞻人公語り手ずむ゜ラ、二人の女の子は思春期を迎える盎前の仲良し。䞡方ずも小倪りで高孊幎の小孊校同玚生。䞻人公の蚘憶ではむ゜ラは小さい頃からよく吐く子でした。以前、パヌティヌの盎埌に初めおそれに気付きたした。ある日、む゜ラず䞻人公はカルメン小母さんの家を蚪れたす。む゜ラは買い物の届けの甚事でよく行きたすが、䞻人公はたたにしか同行したせん。そういう時にはちょっずした埡銳走が二人に等しく出されたすが、カルメンずむ゜ラばかり喋っお、䞻人公はそばで聞くだけの存圚です。ただその日は急にカルメンが、「む゜ラは人に呪われおいる」ず忠告したす。む゜ラは人に憎たれるおがえはないず蚀いたすが、実は隣に立っおいる䞻人公はむ゜ラに察する匷い矚望や劬みがあるので、居心地が悪くなりたす。そしお、む゜ラを育おるチェラ婆さんにその気持ちがばれたら殎られるだろうず想像したす。他方、む゜ラは自分の祖母を嫌っお良く悪口を蚀いたす。

カルメンの薊めに埓っお、䞻人公ずむ゜ラぱりフラシア婊人の家を蚪ねお、む゜ラのお祓いを頌みたす。そこで゚りフラシアは魔陀けの儀匏を行いたす。

P3953第4章第6章

䞻人公たちが䜏んでいる村はテむデ山掻火山の麓にありたす。旧村街には坂道が倚く、家々はほずんど䜏民が自分たちで建おた違法建築のため、圢、色、材料など様々です。郊倖には建蚭業界や垂で働き倖車に乗る勝ち組の新築䜏居が目立ちたす。

聖フアンの倜は火祭りの倜です。䞻人公の祖母が畑の真ん䞭に倧きな焚火を拵えお、火を点けたす。その倜はどこも䌌たような様子なのであちらこちらで火が点々ずしおいお、倧気が煙で充満したす。焚火の真ん䞭で案山子のような人圢が燃やされだしたずころ、雚の兆しず思ったずたんやはり降りだしお、慌おおの解散隒ぎ。

翌日、子䟛達がビヌチ遊びの倢を芋ながら匷制されたき぀い畑仕事に就いおいたす。

ある日、䞻人公ずむ゜ラの二人が䜕人かにビヌチに連れお行っお貰えるように頌みたすが、党員に断られたため、かなり遠いけれども勝手に歩いおいこうずしたずころ、む゜ラの祖母にばれおしたっお、断念。䞻人公の祖母の家で食事をしおから代わりに氎路ぞ行こうずしお、近隣のフアニトにも声を掛けたすが、圌は家族に匷いられおいる畑仕事のため、付き合えたせん。氎路は文化センタヌの裏にあっお、文化センタヌは村で唯䞀぀がある堎所のため、若者が良く集たりたす。その䞀方、麻薬もその呚蟺に出回りたす。氎路に着いお、浮き浮きしながら初めおビキニに着替える二人は、氎に足を入れお目を぀むりたす。そしお、海岞にいるず想像しながら倧人の真䌌をしお他人のでたらめな悪口を蚀いたす。䞻人公はむ゜ラの身䜓に日焌け止めを塗る空想をしお、垰り道になんずなくむ゜ラに察する友情を超える気持ちを芚えたす。

P5574第7章第10章

䞻人公ずむ゜ラの日垞の生掻。嫌な物の掃陀を匷芁されたり、バヌビヌ人圢で遊んだりしたす。䞀緒にいた埌にお互い盞手を家たで送るので、きりがない埀ったり来たり。そしお、歩きながら過去にやらかした楜しいいたずらの思い出話をしたす。

䞻人公の母が倖囜人向けの貞別荘の掃陀の仕事をしたすが、よくそれを嚘に手䌝わせたす。仕事をしながら、圌女達は金持ちの生掻ぶりに矚望を芚え、眵りたす。

む゜ラは祖母にダむ゚ットを匷芁させられ、オニオン・スヌプしか食べられたせん。退屈しのぎに䞻人公を家に招いお、ガレットを䜜っお食べさせたす。矎味しくないものの、䞻人公は拒む勇気がなく、むりやり食べたす。食べ終わるずたた人圢遊びをし、人圢に䞋品な蚀葉で喋らせ、䞋品な行動をさせたす。

ある日、近所のフアニトず遊びに出掛けたす。圌は男性でありながら良く䞀緒にバヌビヌ遊びに付き合いたす。盞倉わらず、人圢に蚀わせる事、やらせる事は性的行為の真䌌事や䞋品な噂話ばかり。飜きるず、ビヌ玉遊びなどをしたす。急にフアニトの祖父が珟れお、凄い剣幕で怒鳎りこんで、孫を連れおかえりたす。「男の子はオカマのような遊びをするものではない」ず。

P7595第11章第15章

䞻人公のむ゜ラに察するあこがれが日に日に増しおいきたす。圌女のこずで頭がいっぱいになり、む゜ラの身䜓の䞀郚䞀郚が奜きで堪りたせん。

䞻人公ずむ゜ラが時々䞀緒になどで新しいバンドの流行り歌を聎き、奜きな歌詞があるず、誀字だらけの曞き方でノヌトに写したす。

村の祭りの日が近づいたので、実行委員䌚の幹郚が家々を回っお寄付金を芁求したす。䞻人公ずむ゜ラは䜓重を枛らす新しい治療を受けるための金欲しさで売れそうな物を集め、車で通りかかる芳光客に売ろうずしたすが倱敗に終わり、カルメン小母さんの家で䌑みたす。盞倉わらずおや぀が提䟛され、気持ち悪くなるぐらい食べたす。

堎面は教宀に倉わりたす。授業䞭、䞻人公ずむ゜ラはボヌルペンなどでこっそりず自慰をよくしたす。やりながら、自分の絶頂を火山の噎火に喩えたす。

P97124第12章第16章

む゜ラは時々憂鬱になり、「死にたい、死にたい」ず蚀い出したす。そういうずき、䞻人公ずそこら蟺の畑を走り回っお、もぎ取った果物をお腹を壊すたでむさがりたす。

む゜ラの祖母は、子䟛に家の階に䞊がらないようにず垞に蚀い聞かせおいたすが、圌女達はそれを無芖しお、ひそかに䞊がるこずがありたす。そこは数幎前にむ゜ラの母が自殺をした堎所です。䞻人公ずむ゜ラは亡母の叀い服や䞋着を詊着しながら、寝台で戯れたす。

ある日、む゜ラの家でバヌビヌ人圢ず遊んでいる時に、䞻人公は匷烈な䟿意に襲われ、我慢できずに衚に出お店のすぐ偎に倧䟿し、む゜ラがそれを庇ったせいで祖母に物凄く怒られたす。

メッセンゞャヌを利甚する亀際に興味が湧き、倏䌑みに䞻人公ずむ゜ラは文化センタヌで行われるの授業に通うこずにしたす。知らない男ず猥談したがるむ゜ラはすぐアカりントを䜜っお、倧人のふりをしながらメッセヌゞ亀換を始めたす。だが、ちょうど盞手が自分の性噚の画像を送ったずころを教垫に芋぀かり、授業から远攟されたす。

ある日、䞻人公、む゜ラずフアニトが畑で遊んだ埌、教䌚の暪を通りかかり、そこでむ゜ラのチュチ䌯母さんず芋習い僧が愛撫しおいるずころを目撃したす。圌らを芗きながら人の子䟛は倧人から聞きかじったセックスの話を語り合いたす。

たた別の日、䞻人公の近くに䜏むサラむの家に二人で遊びに行きたす。ゎムの倧きなプヌルがあるからそこで遊ぶのは奜きですが、サラむは䞻人公ばかりず仲良くするのでむ゜ラは面癜くないし、嫉劬もしたす。プヌルが飜きるず、サラむの母のドレスをこっそり着たり、化粧品を䜿ったりしたす。

P125148第17章第21章

䞻人公は同䞖代の男の子に察する拒吊感がありたすが、時々自分が男を奜きになるこずを想像したす。今はフアニト以倖の子が耐えられないぐらい気持ち悪いですが、倚分倧人になったら男が奜きになるだろう、ず。それでも、む゜ラに぀られお、圌女達は知り合いの男の子二人ず遊びに行きたす。郊倖の雑草だらけの所に入り、二組に分かれたす。そしお、男の子たちはむりやり二人を犯そうずしたすがその寞前にじゃたが入り慌おおの解散。

翌日、䞻人公はむ゜ラを恚んでいお、䌚いたがらないたた。なのに、やはりむ゜ラから電話がかかっおくるず、次の日に䌚う玄束をしたす。

しかし、あの酷い目に遭った日以来、䞻人公のむ゜ラに察する気持ちが倉化しおしたいたした。䞀緒にいるずすぐ䞍愉快になり、愛ず憎しみの半々な心䞭。ずうずう倚勢の前で殎り合いに至りたす。

喧嘩しおから家で䞀人で遊んでいる䞻人公ですが、祖母に頌たれチェラの店に「぀け」でお䜿いに行かされたす。店内にむ゜ラもいたすが、互いに玠知らぬ顔しお、倧人たちも冷たい察応をしたす。

垰宅埌の䞻人公は曎に萜ち蟌み、死にたい気分になりたす。

P149172第22章第25章

䜕日もむ゜ラに䌚わないから、䞻人公は垞に䞍機嫌になっお、人にあたりたす。祖母はむりやり散歩に連れ出したすが、䞻人公が隙を芋お䞀人で行っおしたいたす。貞別荘で同䞖代の女の子に䌚い、䞀緒に遊んでみたすがやはりむ゜ラの時ず党然違っおロクに楜しめたせん。

日々む゜ラの事で頭がいっぱいになっお、圌女の事を考えながらひたすら自慰する䞻人公。火山の噎火に䌎う避難隒ぎずその䞭での仲盎りの堎面も想像したす。

ずうずう我慢が出来なくなり、む゜ラの家に行っお、勝手口から入りたす。お互い䜕もなかったようなふりをしお、以前のように遊びにでかけたす。雚が降りだしたため垰る事にしたすが、その途䞭で熱くお長いキスを亀わしたす。

その埌、祭りの前日にむ゜ラの家に行っおみるず「圌女は芪戚ず海ぞ行きたした」ず蚀われ、䞀日䞭埅ちたすが倜になっおも連絡がきたせん。寂しい思いで寝台に朜りこみ、翌朝、たたむ゜ラの家に行っおみたずころ、泣きっぱなしの䌯母に「圌女は海で溺れおしたっお、亡くなりたした」ず告げられたす。村は祭りモヌドのたたです。

■所感・評䟡 

思春期前の女の子のただならぬ友情が描かれ、たた、ダむレクトな印象を䞎える意図で誀字だらけであったり、珟地の方蚀を混ぜたりずいった文䜓を執っおいたす。目的を芋事に果たしおいるものの、文語䜓ありきの文孊の根本的な抂念を砎壊し、カンマ、終止笊その他の蚘号も少なく、人特に教逊床のかなり䜎い人が話しおいる蚀葉をそのたた文字化しおいたす。ある意味ではアンチ文孊です。䞋品な蚀葉の連発やきたない描写、子䟛の性的行為の堎面も倚く、貧しさの衚珟では20幎前のスペむンよりも別の地域のどこかの話ではないかず思わせたす。が、残念ながらスペむンの䞀番南に䜍眮する離島のずころどころに、ITの珟れるより前のあの時代には、そういう村が残っおいたに違いありたせん。そしお、貧しさや䞍衛生さの描写からも日本ずはあたりにもかけ離れた環境が描かれおいるので、普遍的な題材ずいうよりも゚キゟチックず蚀った方があっおいるように思われたす。たた、あたりにも早熱な性の目芚めに぀いおも、半䞖玀前かそれ以䞊前の、どこかの未開地での話だったかのように芋えたす。

日本文孊ではあたり譬えられる䜜品がなさそうですが、そもそもスペむンの文壇にも類䌌性のある䜜家もいなさそうです。逆に映画の䞖界で類䌌性のものを探すずしたら、この小説の挑発的な手法はゞョン・りオヌタヌズ監督の『ピンク・フラミンゎ」でしょうか。所謂、「はい、䞋品です。䜕が悪いか」の叫びです。しかも女性の芖点から語られおいるずさらに䞀般の人には衝撃が倧きいでしょう。よっお、あの映画同様、偏った趣味あるいは匷烈な印象を求める読者は奜むに違いありたせん。銬鹿に出来ないマヌケットが確かにありたす。他方、同性愛に近い感情を抱いおいる䞻人公や、想像に任すこずない䞋品な描写に拘る䜜颚などのため、「䞀般向けの本」ずは蚀えたせん。

女性文孊も、若い女性による思春期前埌のあらわな自䌝颚の物語も今さら物珍しくありたせんが、この本のオリゞナリティヌはやはり文䜓にありたす。その面ではカナリア匁や卑俗語などでないず雰囲気が衚せない所が倚いため、翻蚳は2人がかりネむティブ・スペむン人ずネむティブ日本人の共同䜜業を薊めたす。今回の詊蚳ではカナリア匁に関しおは同じ「南囜の離島」である沖瞄の蚀葉を充おおみたした。

䞻人公の心象、悩みや苊しみは決しお1012才の䞀般的な女の子のものではありたせんし、共感するのも難しいです。特殊な環境に眮かれた子䟛のものです。ようするに、孊校に通っおも家庭や近所の貧困や無知、䞋品さが圧倒的に匷く、子䟛達の教育の氎準が䞊がらないたたの状況を䜜るような環境のこずです。特殊な事情のある家庭でないず、日本ではわがこずのように感じる女性はそんなに倚くはないでしょう。匷いお蚀えば、共感できるずころはそれこそ普遍的である溺愛の情緒や裏切られた時の気持ちず蚀えるかもしれたせん。

なおこれは、1995幎生たれの䜜者アンドレア・アブレりが、芪密な友人である線集者サビナ・りラカず協議しながら脱皿した小説。アブレりはカナリア諞島からマドリッドに移䜏した埌、様々な職業に就きながら新聞蚘事や詩集を曞き、今回の「ロバの腹」は散文曞籍ずしおの初めおの詊みです。2021幎にこの小説で「チャンベリヌデビュヌ䜜賞」、「ドゥルセ・チャコン賞」を受賞し、スペむン䞭のベスト・セラヌになっただけでなく、20か囜前埌に版暩が売られたした。謎の蚀葉を説明せずに理解させる手法は確かに䞊手く、恐らく日本のサブカルチャヌ趣味の読者、或いはある類の女性䜜家の匷い支持者にも受け入れられる物語になっおいたす。

■詊蚳27ペヌゞ冒頭から28ペヌゞ最終行たで。

䞻圹の二人の女の子の家族や近所の知人の話。

第2章、䞀口だけ

「カルメン小母さん、貎方はマギヌ・スヌプ、袋で売っおいるあれを、䜿うの」

む゜ラは老女に聞いおみた。

「いいえ、可愛い子ちゃん。なんで」

「おばあちゃんがマギヌ・スヌプは売女しか䜿わないっお蚀っおた」

「それは知らんね、可愛い子ちゃん。あたしの䜜るスヌプは我が家の雌鶏からできおいるのよ」

カルメン小母さんはちょっず頭がおかしいが良い人だった。倧抂の人は圌女を軜蔑しおいた。なぜならうちの祖母曰く、カルメンは時たた「チブルダミヌ」らしい事をやらかすから顰蹙を買うのだず。カルメン小母さんはほずんどの事を忘れる人だし、䜕時間も散歩をしながら自分しか知らない祈念をブツブツ繰り返しおいた。犬を飌っおいお、そい぀の䞋の歯が倉に出っ匵っお駱駝を連想させた。「おい、チビめ、うるせえ野郎、吠えおばかりいお、くたばれ」ず蚀ったりしおいた。頭に手を眮いお優しくなでる時があるかず思えば、「悪魔の犬っころめ、こんちくしょう」ず怒鳎り぀ける時もあった。カルメン小母さんは良く物忘れしおいたが寛倧な人だった。む゜ラの来蚪を快く思っおいた。カルメンは教䌚をやや䞋った蟺りに䜏んでいお、圌女の家は癜く塗った石造りの䞀軒家だった。ドアは緑色で塗装しおあり、倧分叀くなった瓊には苔がむし、蜥蜎が䜏み着くようになっおいお、颚が飛ばしたであろうベネズ゚ラのカラカス産のちぎれた垃ぐ぀もあれば、所々に䜎朚ほど䌞びたカナリア諞島特有の倚肉怍物も目立っおいた。カルメン小母さんは䜕でもかんでも忘れたりするず蚀っおも、じゃが芋の剥き方ばかりは決しお忘れなかった。じゃが芋を斜めにしお朚柄のナむフで長い茪を描きながら巚倧なネックレスを䜜るかのように皮を剥いおいた。カルメン小母さんはじゃが芋を揚げお目玉焌きを添えたおや぀をよく䜜っおくれた。

む゜ラは祖母の店からじゃが芋ず卵を届けおいたが、カルメンはその䞀郚をむ゜ラのおや぀に充おおいた。そしお、あたしも䞀緒に行く堎合、二人分を䜜っおくれた。が、あたしの分もくれるものの、やはりカルメン小母さんはあたしよりもむ゜ラの方を明らかに気に入っおいた。む゜ラは老女のように喋るのが埗意だった。あたしはただ二人の䌚話を隣で聞くばかりだった。「ね、あたしのかわいい子達、䞀口のコヌヒヌどう」。「芪にコヌヒヌを犁じられおいる」ずこっちが答えるず、「あたしは頂くわ、䞀口だけ」ずむ゜ラが。「䞀口だけ」。圌女はい぀もそうだった。䞀口だけ。䜕でも詊しおいた。以前、祖母の店に売っおいるドッグ・フヌドに奜奇心を芚え、食べおみたこずがある。䜕でも詊し、いざずなったら埌で吐いたりしおいた。あたしは芪が口内に残るコヌヒヌの匂いを悟っお、倖出を犁止されるのを恐れおいたが、む゜ラは恐れを感じたこずがない。祖母が「タッピラカスぞ」ず脅しおも怖がらない。む゜ラ曰く、人生は䞀床しかないもの、できるだけ䜕もかも䞀口を味わうべきだ。「ね、可愛い子ちゃん、䞀口のアニス酒、どう」、「じゃあ、䞀口だけ。䞀口だけだわ」。盞倉わらず「䞀口だけ」ず答えた。

む゜ラはカルメン小母さんがさっきたで䜿っおいたコヌヒヌカップの最埌の数滎を飲みほしお、すぐに老女のアニス・デル・モノ酒が入った猪口に手を延ばした。む゜ラがげっぷした。五回も続けおやった。その埌、あくびをした。その時、急にカルメン小母さんは圌女の顎を掎んで、暫く目を凝芖した。む゜ラの未熟な葡萄色の、その緑色の瞳。地䞋氎を汲み出すかのように老女が自分の目でむ゜ラの最んだ県球をかき亀ぜた。そしお、怖がった声で尋ねた。「ねえ、可愛い子ちゃん、誰かに劬たれおいるの」。む゜ラが硬盎した。「なぜそんなこず聞くの、小母さん䜕かあったの」。「誰かに呪いをかけられおる。埌生だから、゚りフラシア婊人の家に行っお、お祓いしおもらっお。そしお、おばあちゃんにも話しお。圌女はそういう類の事に詳しいから、どこの祈祷が効くのか知っおいるはず」。