Casanovas & Lynch Literary Agency
カサノバス&リンチ著作権事務所
エージェント
スペインとラテンアメリカの作家の代理業務に加えて、海外の出版社やエージェントがスペイン、mルトガル語圏で活動する際の代理業務を行う。1981年設立。本拠地はバルセロナ。
ミスターフランキーことフランシスは、生まれ育った土地に戻ることにした。ロックンロールの夢を追い求めて、一度はそこから飛び出した。ロックンロールはその指先で彼の頬をちょいとかすめ、束の間の有毒な名声を与えたが、今は貧しさや麻薬中毒とおさらばする時だ。しかし地元の古い地区は、未だに父親や腹違いの妹、初恋の相手、数人の友人がうろつく廃墟だった。何もかも新しくやり直したいフランシスだったが、昔のしがらみや、3分間の歌があり、過去の自分を捨てきれない。フランシスにとって直線は、2点を結ぶ曲がりくねった長い線だった。今請求書や宿泊代は払ってもらっているが、いつまでもこのままではいられない。前に踏み出すには誓いだけでは不十分だ。そう、彼は一度はジョニー・サンダースだったのだから。
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文学
俺はジョ;ー‧サンダース った
Yo fui Johnny Thunders
カルロス‧サノン
Carlos Zanón
Casanovas & Lynch Literary Agency
イソルダは、奇妙だが魅力に満ちた城に閉じこもって暮らしている。城はメデジン市にあるのだが、個性豊かな市民が暮らすこの町とは無縁だった。十代の少女イソルダにとって、城の中の雰囲気は現実からかけ離れて重苦しく、城の周りの森だけが彼女の孤独を癒してくれるのだった。しかし、目に見えない外界の脅威は、城のまわりの木々の枝の間から忍びこんでくる。ホルヘ・フランコが緊張感を見事に操りながら作り上げた、怪しい雰囲気をたたえたおとぎ話は、やがて常軌を逸した誘拐の物語となる。城という要塞の内外で、御しがたい怪物とも言える恋が強迫観念となり、増長し、凶暴化して報復心を煽る。死を運命と受け入れるしか、逃れるすべはなさそうだ。
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文学
外の世界
El mundo de afuera
ホルヘ‧フランコ
Jorge Franco
Casanovas & Lynch Literary Agency
マリアナ・エンリケスの世界は私たちの世界とは無縁のようだが、読み進めるうち最後は自分のものとなる。数行でもその世界に足を踏み入れ、空気を吸ったならば、生き生きとした感情表現のとりこになり、忘れられなくなる。細分化され悪夢となった日常に読者はうちのめされ、ストーリーやイメージに感情をかき乱され、それらが頭から決してはなれなくなる。例えば、「激越な女たち」と自称する集団は、ウイルスと化した重度の家庭内暴力に抗議する。爪をはぎ取り睫毛を引き抜いてしまう女生徒と、彼女を助けようとするクラスメイト。政府の独裁の暗い年月に中毒になり、死によって引き裂かれる3人の女友だち。ペティソ・オレフードという、たった9歳の連続殺人犯。引きこもり、黒魔術、嫉妬、失恋、田舎の迷信、廃屋など。
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文学
火の中でなくしたもの
Las cosas que perdimos en el fuego
マリアナ‧エンリケス
Mariana Enriquez
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ダミアンは失業して以来混乱している。ある日骨董市でちょっとした盗みを働き、たんすに隠れるが、彼が入ったままたんすは売られてしまう。ルシアとフェデという夫婦の部屋に運ばれたたんすの中で、ダミアンは家具の一部であるかのようにそこに居着く。ありえない設定を、いかにももっともらしくラストまでもっていく巧みさが、小説に格別の緊張感を与える。ダミアンは、隠れ場所からルシア夫婦を観察するうちに、ルシアの心や恐れや夢に寄り添うようになる。それによってついには自分が尊重されていると感じて、生きていると実感すれば何ができるかを悟る。
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文学
陰の中から
Desde la sombra
フアン‧ホセ‧ミリャス
Juan José Millás
Casanovas & Lynch Literary Agency
音楽とウィットとリリシズムに導かれ、夢のような雰囲気をかもしだす10の短編。クラリッセ・リスペクトールの短編に似た感覚を読者に与える。アルムデナ・サンチェスの初めての短編集である本書には、数学と人生の音楽が残響を放つ。後ろの座席にふたりの息子を乗せて、ふらふらと脇道をドライブする母親、最後の夢をかなえようとロープウェーに乗ったふたりの老人、最後には宇宙飛行士となった失業中の勤勉な女子学生、けんかをし、楽器の弾き方をおぼえ、スイマーに恋をする大勢の若い娘たちなどが、この短編集の魅惑的で心あたたまるページを駆け抜ける。大人の青年期あるいは若々しい熟年というまぼろしがあるならば、アルムデナ・サンチェスの物語はすべてをかけてそのような夢想をよびおこそうとする。
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文学
イグルーの音響
La acústica de los iglús
アルムデナ‧サンチェス
Almudena Sánchez
Casanovas & Lynch Literary Agency
アデライダ・ファルコンはシングルマザーに育てられた。そのため家族と呼べるものは後にも先にも⺟と⾃分が築いていた関係しかないと固く思っていたが、その世界も⺟の死によってなくなった。貧しく失望した彼⼥が喪に服して暮らしている街では⾷料が⼿に⼊らず、わずかに⼊⼿できた⾷料も市⺠同士で強奪。強権的な政府は略奪し、誘拐し、殺⼈を犯していた。その全てがアデライダが閉じこもろうと決めた世界、すなわち⺟と暮らしていた家と外界との間で起きていた。抗議と政治的抑圧が続く⽇々。彼⼥は家に閉じこもり、何⽇もかけて⺟親の持ち物を整理しつつ、⺟の⼈⽣と彼女がいなくなった場所を再構築していた。しかし暴力的な⼥性の⼀団が現れ、全てが⼀変する。
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