Casanovas & Lynch Literary Agency
カサノバス&リンチ著作権事務所
エージェント
スペインとラテンアメリカの作家の代理業務に加えて、海外の出版社やエージェントがスペイン、mルトガル語圏で活動する際の代理業務を行う。1981年設立。本拠地はバルセロナ。
私たちが幼年期という概念を再定義せざるを得なくなるには、何が起こらなければならないのだろうか? 出自不明の32人の暴力的な子どもたちの出現が、ジャングルと川に挟まれた小さな熱帯の町サン・クリストバルの生活を完全に混乱させる。20年後、その出来事の当事者の一人がこの『光の共和国』を執筆する。これは、子どもたちが死ぬまでの1年半の間に町を支配した際、都市がいかにして秩序と暴力の概念のみならず、文明そのものまでも再構築することを余儀なくされたかについて、事実、証拠、そして噂を織り交ぜて綴った年代記である。緊張感と不安に満ち、『闇の奥』のコンラッドの鮮明さを持つこの作品で、バルバは彼の常套手段である物語の大胆さと曖昧な状況を描く才能に加えて、偉大な物語の息づかいを持つ形而上学的で暗い寓話の次元を加えている。
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文学
きらめく共和国
República Luminosa
アンドレス‧バルバ
Andrés Barba
Casanovas & Lynch Literary Agency
深く魅力的な文体で、恋をした状態について考察する小説。ほぼだれもが恋愛を有益なもの、ときには救済とさえ考えるがゆえに、恋愛においては、高貴で無欲な振る舞いから、大いなる横暴や下劣さまで、ほとんどすべてのふるまいが正当に思えるものだ。本書はまた、事実の恐るべき力と無処罰についての本であり、また、どれほど嘆き、戻ってきてほしい、少なくとも生きていてほしいと強く望んだとしても、死者を生き返らせるわけにはいかないこと、真実を正確に知ることは不可能なこと、絶えず揺れ動き、変化する私たちの思考の真実さえ知ることができないことについて語った本でもある。
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文学
恋
Los enamoramientos
ハビエル‧マリアス
Javier Marias
Casanovas & Lynch Literary Agency
ミスターフランキーことフランシスは、生まれ育った土地に戻ることにした。ロックンロールの夢を追い求めて、一度はそこから飛び出した。ロックンロールはその指先で彼の頬をちょいとかすめ、束の間の有毒な名声を与えたが、今は貧しさや麻薬中毒とおさらばする時だ。しかし地元の古い地区は、未だに父親や腹違いの妹、初恋の相手、数人の友人がうろつく廃墟だった。何もかも新しくやり直したいフランシスだったが、昔のしがらみや、3分間の歌があり、過去の自分を捨てきれない。フランシスにとって直線は、2点を結ぶ曲がりくねった長い線だった。今請求書や宿泊代は払ってもらっているが、いつまでもこのままではいられない。前に踏み出すには誓いだけでは不十分だ。そう、彼は一度はジョニー・サンダースだったのだから。
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文学
俺はジョー‧サンダースだった
Yo fui Johnny Thunders
カルロス‧サノン
Carlos Zanón
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イソルダは、奇妙だが魅力に満ちた城に閉じこもって暮らしている。城はメデジン市にあるのだが、個性豊かな市民が暮らすこの町とは無縁だった。十代の少女イソルダにとって、城の中の雰囲気は現実からかけ離れて重苦しく、城の周りの森だけが彼女の孤独を癒してくれるのだった。しかし、目に見えない外界の脅威は、城のまわりの木々の枝の間から忍びこんでくる。ホルヘ・フランコが緊張感を見事に操りながら作り上げた、怪しい雰囲気をたたえたおとぎ話は、やがて常軌を逸した誘拐の物語となる。城という要塞の内外で、御しがたい怪物とも言える恋が強迫観念となり、増長し、凶暴化して報復心を煽る。死を運命と受け入れるしか、逃れるすべはなさそうだ。
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文学
外の世界
El mundo de afuera
ホルヘ‧フランコ
Jorge Franco
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マリアナ・エンリケスの世界は私たちの世界とは無縁のようだが、読み進めるうち最後は自分のものとなる。数行でもその世界に足を踏み入れ、空気を吸ったならば、生き生きとした感情表現のとりこになり、忘れられなくなる。細分化され悪夢となった日常に読者はうちのめされ、ストーリーやイメージに感情をかき乱され、それらが頭から決してはなれなくなる。例えば、「激越な女たち」と自称する集団は、ウイルスと化した重度の家庭内暴力に抗議する。爪をはぎ取り睫毛を引き抜いてしまう女生徒と、彼女を助けようとするクラスメイト。政府の独裁の暗い年月に中毒になり、死によって引き裂かれる3人の女友だち。ペティソ・オレフードという、たった9歳の連続殺人犯。引きこもり、黒魔術、嫉妬、失恋、田舎の迷信、廃屋など。
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文学
火の中でなくしたもの
Las cosas que perdimos en el fuego
マリアナ‧エンリケス
Mariana Enriquez
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ダミアンは失業して以来混乱している。ある日骨董市でちょっとした盗みを働き、たんすに隠れるが、彼が入ったままたんすは売られてしまう。ルシアとフェデという夫婦の部屋に運ばれたたんすの中で、ダミアンは家具の一部であるかのようにそこに居着く。ありえない設定を、いかにももっともらしくラストまでもっていく巧みさが、小説に格別の緊張感を与える。ダミアンは、隠れ場所からルシア夫婦を観察するうちに、ルシアの心や恐れや夢に寄り添うようになる。それによってついには自分が尊重されていると感じて、生きていると実感すれば何ができるかを悟る。
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