Editorial Pre-Textos
エディトリアル‧プレ-テクストス
出版社
1976年にバレンシアで創業以来、国際的な文芸書、思想書を刊行するという明確な使命感を持ち、途切れることなく活動を続ける独立系出版社。
事故にあった瀕死の一頭の馬。愛し合う勇気を持てないカップル。ひとりの若者。『ある馬の死』の中では、こういった単純なモチーフが組み合わさって愛と死に関する物語を構築する。愛することへの恐れ、死と事故の体験、他者の内面と、他者と対峙する自分自身の内面の遅々とした発見。実際には、舞台は一枚の写真のように動かない。主人公たちの心の内面と意志は、瀕死の一頭の馬のまわりをぐるぐるとめぐりながら、何が起きたのか、自分たちは本当は何を望んでいるのかを理解しようとする。瀕死の馬は、最後にはある意味ですべての重心となり、それを前にすると、嘘をつくことも自分を欺くこともできない存在となる。その真っ白な重心が主人公たちに、自分たちが感じ望んでいることを認識させていく。
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文学
ある馬の死
Muerte de un caballo
アンドレス‧バルバ
Andrés Barba
Editorial Pre-Textos
プロスペル・メリメが1870年にカンヌで死去した後、彼の書斎で下書き、草稿、出版を意図していたかどうか定かではない未完成原稿などが見つかった。
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ノンフィクション・その他
カルメンの告白
La confesión de Carmen
ロマン‧グベルン
Román Gubern
Editorial Pre-Textos
この研究の根底にある問いは、少なくとも視覚よりも聴覚優先で外界を感知しがちな人にとっては、人文科学の分野において最も複雑かつ興味深い問いだろう。それは言葉と音楽との関係という問題だ。テクストとメロディー、韻律とアーティキュレーション、言葉のリズムと音楽のリズム、言葉の意味と音の持つ意味、……これらの要素は、たいがいは緊密に協調しあっているが、同時に自分自身のルールを相手に押しつけようと、永遠にきそいあっている。
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ノンフィクション・その他
クラシック音楽 中世から後期ルネサンスに至る古詩の解釈
La música de los clásicos. Versiones de la poesía antigua, de la Edad Media al Renacimiento tardío
ホルヘ‧ベルグア=カベロ
Jorge Bergua Cavero
Editorial Pre-Textos
草地を求めて移動し、ワニがうようよしている川を渡らなければならないヌーのドキュメンタリーは、おそらくだれもが見たことがあるだろう。毎年群れが通り過ぎたあとには必ず数匹が取り残されるが、ワニの飢えを和らげる、こういう犠牲がいるおかげで、群れは前進できるのだ。本書の登場人物たちも、そのような状況に置かれている。群れを渡らせるため自分が犠牲になるかもわからぬまま、ワニがひしめく水の中へ入っていくしかないヌーそっくりの状況だ。その多くは、青春期を通りすぎた大人である。遠くはなれて語られるこの群像劇の主人公たちの青春は、あきらめるしかなかった野心や、到達されなかった目標の中にあり、もはや郷愁をかきたてる無邪気な賞賛の対象でしかない。
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文学
ヌーの群れ
Una manada de ñus
フアン‧ボニリャ
Juan Bonilla
Editorial Pre-Textos
表向きの性質の裏に、謎めいた感覚、陰謀と知られざる関係が隠れ、時間は、それ自身に謎と確かさをはらんだ、別のリズム、別の秩序で流れていく。理性という拘束衣をはねのけて、アレックの死へとたどりつく出来事が謎に包まれていることをまずは認める必要がある。死という結末がなければ意味がなく、おそらくは記憶から消されていたであろうばらばらの出来事が、アレックの死によって完全に調和して整理された。暗い諦観とともに私は悟ったのだが、もしアレックが死んでいなかったなら、その消失を告げる兆候も現れていなかっただろう。なぜそう言えるかは、アレックの死そのものが実証している。
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文学
アレックの死
La muerte de Alec
ダリオ‧ハラミーリョ=アグデロ
Darío Jaramillo Agudelo
Editorial Pre-Textos
この美しいタイトルが語るように、愛はすべて、即興の真実で始まる。そこでは将来への期待と、過去を引き受ける必要性(それはいつも簡単とは限らない)が交錯する。クララは、一時的に言葉を失っているブルーノの病気を利用して、大人の愛の最初の数年についての研究に没頭する。目新しさだけではなく、避けがたい嫉妬、不安、好きになり始めた相手を手探りで発見していくことなどから、どのような関係が芽生えていくのか。 本書Una verdad improvisada (即興の真実)は、マリーナ・ツヴェターエワまたはナタリア・ギンズブルグといった20世紀の偉大な散文作家の持つ物語の鼓動と、読む者の心を無防備にさせる誠実さを持つ。カルメン・M.カセレスはこのデビュー作で、将来有望な新人というよりも完成した声として登場した。
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