日本市場向けに専門家が選んだスペインの新刊書籍をお届けします。今回は以下の専門家の方々に選んでいただきました(あいうえお順/敬称略)
市橋栄一(紀伊國屋書店)/ 川地麻子(タトル・モリ エイジェンシー)
佐々木一彦(新潮社)/ 野谷文昭(東京大学)/ 由里幸子(元朝日新聞編集委員)
各書籍のレポートを担当したのは以下の方々です(あいうえお順/敬称略)。青砥直子 / 井原美穂 / 宇野和美 / 尾河直哉 / 小原京子 / 柏倉恵 / 児玉さやか / 佐藤まゆり / 嶋田真美 / 高際裕哉 / 高部良 / 仁平ふくみ / 長谷川晶子 / 平野麻紗 / ハビエル・フェルナンデス=サンチェス / 村田名津子 / モンセ・マリ / 安田晶 / 矢野真弓 / 横田佐知子 / 吉田恵
吸血鬼のラディスラウは問題を抱えている。牙が鋭くないのだ。鋭い牙がなければ人間を怖がらせることもできなければ、おいしい首に噛みつくこともできない。実は、吸血鬼の人生だって、なかなか厳しいのだ!
古くからの友人たちの一行が、山小屋に集まって週末を過ごす。彼らには、過去の暗いひとつのエピソード以外には共通するものは何もない。集まりはいつもの筋書き通りに進行するが、宴たけなわの中、外部からのある出来事で、すっかり計画が変わる。
2、3本のかなりさびれた通り、それだけがハバナのチャイナタウンの名残だ。キューバ人の元刑事マリオ・コンデはそこに足を踏み入れた途端、何年も前、1989年に既に来たことがあるといやでも思い出す。魅力的な警部補のパトリシア・チオから不思議な事件を解決するために手を貸してくれと頼まれたのだった。ペドロ・クアング老人の殺人事件。老人は指1本が切りとられ、胸に丸と2本の矢の絵を刻んだ状態で、首を吊って発見された。これはサンテリア教(キューバの民間信仰)の儀式だった。
ある町に入りこんだ12の命。彼らを生かしておくか、運命にまかせるか、意見が分かれた空想上の生き物たちの都。悪夢か、はたまた奇跡を呼ぶ赤い月の到来を、みなが待っている。
それは、ロカバランコリア王国の最後の希望、王国の失われた栄光をとりもどす唯一の機会。しかし、希望ははかない。30年の間、連れてこられた若者はひとりとして生きのびられなかった。30年の間、ひとりとして生きのびて赤い月を見た者はいない。
エル・ビキンゴは年老いた元プロレスラー。自分がまだ、どんな職務もやりとげられるタフな男だということを勤め先の警察の上司たちに見せたくて、同僚とともに何人かの容疑者の若者を留置所に連行する任務をかってでる。その翌日、マリア・エレナというひとりの家政婦が、かつての主人の孫の元で働くことになり、新婚家庭をたずねるが、家には誰もいない。事情をたずねてまわったり、日増しに不安を募らせる家族からの電話を受けたりするうちに、マリア・エレナはこの失踪の裏に、何か非常に重大な事実が隠れていると直感する。