居心地がよくもあり不愛想でもある都会と、必要性と愛情で辛うじて繋がっている家族、そして、特別な瞬間の素晴らしい女性の眼差しを描いた小説。何度も失敗した末に、アマリアは65歳の今、漸く夢をかなえた。それは家族全員揃って大晦日の夜を過ごすことだ。アマリアが持ち前の陽気さと献身を発揮して、目に見えない糸の網を紡ぎ、いかに家族を結びつけ守っていったか、口を閉ざす者たちの間をつくろい、ある者たちは将来へと導いていったかを、ひとりの母親が語る。心に強烈にやきつく夜になることは分かっていた。秘密と嘘、笑い声が部屋を満たす。そして遂に長年押し殺してきた秘密が明かされるとき、何がこれからの人生をささえていくかが見えてくる。愛さずにはいられないひとりの女性の姿、長所を追求していくと人間が見せる思いがけない閃きを浮き彫りにする。