Alejandro Palomas
アレハンドロ‧パロマス
アレハンドロ‧パロマス(1967年、バルセロナ生まれ):英語文献学士。サンフランシスコのニューカレッジで詩学の修士号を取得。ジャーナリズムに従事するかたわら、有名作家の著作の翻訳を手がけ、詩作(詩集『Quiero(私は欲する)』『Una flor(1本の花)』)も行っている。また『El alma del mundo(世界のたましい)』、『Agua cerrada(閉ざされた水)』『El tiempo que nos une(私たちを結ぶ時間)』などの小説を発表。2016年に『Un hijo(息子)』で国民児童文学賞を受賞、2019年にはその続編『Un secreto(秘密)』が刊行された。三部作『Una madre(ある母親)』、『Un perro(犬)』、『Un amor(愛)』(2018年ナダル賞受賞)ではある家族を描き出し、多くの読者を魅了して高い評価を受けた。その作品群は映画化や舞台化され、20ヶ国語以上に翻訳されている。本書『Un país con tu nombre(君の名前が付いた国)』(Destino、2021)は著者にとって新たな文学的表現への挑戦となるものだ。
居心地がよくもあり不愛想でもある都会と、必要性と愛情で辛うじて繋がっている家族、そして、特別な瞬間の素晴らしい女性の眼差しを描いた小説。何度も失敗した末に、アマリアは65歳の今、漸く夢をかなえた。それは家族全員揃って大晦日の夜を過ごすことだ。アマリアが持ち前の陽気さと献身を発揮して、目に見えない糸の網を紡ぎ、いかに家族を結びつけ守っていったか、口を閉ざす者たちの間をつくろい、ある者たちは将来へと導いていったかを、ひとりの母親が語る。心に強烈にやきつく夜になることは分かっていた。秘密と嘘、笑い声が部屋を満たす。そして遂に長年押し殺してきた秘密が明かされるとき、何がこれからの人生をささえていくかが見えてくる。愛さずにはいられないひとりの女性の姿、長所を追求していくと人間が見せる思いがけない閃きを浮き彫りにする。
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文学
ある母親
Una madre
アレハンドロ‧パロマス
Alejandro Palomas
Sandra Bruna Agencia Literaria
ギリェはいつも笑顔を絶やさない、一見幸せそうな男の子。しかし少し爪でひっかけば、その下に謎が隠れているのがわかる。笑顔を絶やさない内気なギリェは、想像力豊かな本好きの少年。友だちは女の子がひとりだけ。ここまでは平穏な話だ。だが、物静かな仮面の下にはトランプの城のように壊れやすい、謎に満ちた世界が隠されている。経済的に追い詰められた父親、不在の母親、好奇心をそそられた教師、背景にあるパズルを組み立てようとする心理学者。感情、優しさ、空虚さ、発せられなかった言葉、恐ろしい謎が息づく群像小説。
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文学
息子
Un hijo
アレハンドロ‧パロマス
Alejandro Palomas
Sandra Bruna Agencia Literaria
そのさびれた村の住人は、動物園で象の飼育係をしているジョンと、猫11匹と暮らす未亡人のエディスだけだ。はじめ互いに関わり合わなかった彼らだったが、今では良き友人同士である。ふたりは、古い鐘楼の上の風見鶏が自分で回り始める夜、村に注がれる「時のまなざし」が自分たちの人生も共に回転させようとしていることなど知る由もなかった。春が訪れた時、動物園の経営陣は想像もしなかったような決断を下す。さらに村が属する自治体も、今は住む人もない湖畔の古いお屋敷を改装し田舎風のホテルにすると発表した。このふたつの知らせは、ジョンとエディスの人生を一変させ、彼らをこれまで踏み出すことのできなかった行動に駆り立てるのだった。
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