オットーとクレアがブエナ・ビスタ老人ホームにやってきた午後、このふたりの老人が、時の流れとともにすり減ったふたつの人生の重み以上のものを抱えていようとは、誰も思わなかった。若いヘルパーのイロナでさえ、彼らに付き添うこの3か月間が彼女の人生にこれほどのものをもたらそうとは想像していなかった。3か月の間、3つの魂は、最初は一緒に過ごすことで、やがて次第に愛情でつながり、やがてがっしりと結ばれる。退屈することに子どものように抵抗し、決然と人生と真実を危険にさらすふたりの老人。そして、多くの隠しごとをしながら、そうやって秘密をかかえているせいで悪いことがあるのではと恐れる若い娘。
本書は大きな愛の物語であり、愛をめぐる大きな物語でもある。音楽へ、人生へ、そして最後のチャンスへの愛。ふたりの勇敢な老人は、感情を優先するため、そして今までそうなる勇気がなかったものを手に入れるための最後のチャンスをつくりだす。