そのさびれた村の住人は、動物園で象の飼育係をしているジョンと、猫11匹と暮らす未亡人のエディスだけだ。はじめ互いに関わり合わなかった彼らだったが、今では良き友人同士である。ふたりは、古い鐘楼の上の風見鶏が自分で回り始める夜、村に注がれる「時のまなざし」が自分たちの人生も共に回転させようとしていることなど知る由もなかった。春が訪れた時、動物園の経営陣は想像もしなかったような決断を下す。さらに村が属する自治体も、今は住む人もない湖畔の古いお屋敷を改装し田舎風のホテルにすると発表した。このふたつの知らせは、ジョンとエディスの人生を一変させ、彼らをこれまで踏み出すことのできなかった行動に駆り立てるのだった。