『ティラン・ロ・ブラン』は世界文学の最高傑作のひとつ。地中海のあらゆる街でカタルーニャ語が話され、また書かれていた時代に、バレンシア人ジュアノット・マルトレイによって創作された。作品の中で、読者は夢を叶えようとするひとりの騎士の戦いや恋愛模様を目の当たりにする。その夢とは、コンスタンチノープルを敵から解放するということだった。慣習、戦争、恋愛…あらゆることが語られるがゆえに総合小説といわれるが、とりわけ際立つのがその真実性だ。ティランは賢明さ、勇敢さを以って敵を倒していく。実に人間らしいヒーローで、城を攻めるが、愛するカルメシーナの部屋から下りる際に足を骨折したりするのだった。