この小説の舞台となる新しい世界では、妊娠は女性の体外で起こる出来事だ。ゆえに思いがけなく妊娠したことを知ったソエはパートナーと共に深い森の奥に逃げ込む。そこには科学の進歩を避けて人々が隠れ住む小さな居留地がいくつか点在していた。このふたつの世界の対比は胸を突く。生にまつわる情熱的なこの小説で、著者は人の本質に係る要となる疑問を提起するとともに、すべての始まりである母性に対する賛歌を捧げる。