マリオが急死した。妻カルメンは通夜の夜、ひとり、亡き夫に向かって5時間にわたって語りかける。その間、マリオはじっと沈黙を守る…。しかし、彼は死んだからといって妻の独白に耳を傾けるのをやめはしない。肉体はないが、彼は完全に状況を理解している。そして今度はマリオが戻ってきて、夢の中でこたえる番だ。これは、ミゲル・デリーベス(Miguel Delibes)の代表作『CINCO HORAS CON MARIO(マリオとの五時間)』(彩流社、2004年)へ向けた明らかなオマージュであり、ホセ・デ・コラは夫マリオから妻カルメンへの返答を描く。そうして、ホセ・デ・コラは、かつてデリーベスがしたように、人間の永遠のテーマについて語る。罪、孤独、コミュニケーションの欠如、あるいは命の意味。だが本書『Habla Mario(マリオが話す)』は、私たちの文学の傑作のひとつを、最大の称賛をこめて見直すだけではなく、21世紀の読者のために同じテーマを別の視点から描いてみせる。